MicrosoftのAI攻勢

by Shogo

Microsoftは、オープンAIの人工知能技術を使って攻勢に出ている。Microsoftは、巨大IT企業ではあるが、20世紀に既に確立した会社だったために、IT技術で21世紀に急成長したGAFAと呼ばれる4社とは少し違うカテゴリーとして考えられてきた。それは、新しいイノベーションを近年は生んでいない成熟した会社というイメージである。しかし、それも最近ではGAFAMと言う形で同社がまとめられるようになってきており、Microsoftは決して終わった会社ではなく、様々な分野で新しいイノベーションを生み出していると言う認識に変わっていた。

それでも、Office 365やクラウドサービスのイメージが強く、尖ったイノベーションを生み出しているとは考えられていなかった。

だが、オープンAIの技術を使って、Microsoftの様々な事業やサービスが大幅なアップデートが始まっている。まず、検索エンジンのBingにChatGPTを組み込んで全く新しい検索体験を提供するようになった。90%のシェアを握るGoogleの検索エンジンに対して、存在しないかも同然のようなBingであったが、今後はシェアを高めてゆくものと思われる。

そして、今週発表した、MicrosoftはDynamic 365 Copilotは、営業・マーケティング・顧客サービスの分野で革命を起こすかもしれない。Dynamic 365は、企業の営業向けサービスして提供されているが、Oracle、Salesforce、SAP SEなどに比べると後塵を拝している。しかし、Dynamic 365 Copilotは、BingがGoogleと戦えるようになったように、競合サービスに対して大きな競争力を持つかもしれない。それにCopilot、副操縦士と言うネーミングも良い。

Dynamic 365 Copilotができるのは、例えばマーケティング担当者に、新たなターゲットとする顧客カテゴリーをAIが提案をすることや、商品のキャンペーンのアイディアを考える時にも有効なツールとなる。また、EC用の商品のリストを作成するような事務処理はすぐにできてしまう。

YouTubeなどで公開されているDynamic 365 Copilotの顧客サービスのインターフェイスを見ると、顧客からの問い合わせに対して、社内のデータベースを統合して最適な答えを瞬時に用意することができる。顧客サービスの担当者は行う事は、AIが提案するいくつかの選択肢を比べて、その中で最適なものを選択して返信するだけだ。通常であれば問い合わせに対して、社内の様々なデータベースから情報を集めて、回答を作らなければいけないが、この作業はAIが瞬時に行い、最終的な回答文章の作成まで行う。顧客サービスの担当者が行わなければいけないのは、AIが提案する内容が間違っているかないかどうか、適切であるかどうかを判断するだけとなる、これだけでも、通常はかなりの時間がかかっていたものが、数分で済む。

同様に営業の担当者が顧客に送るメールをAIに依頼してすぐに作ることもできるので、作業の効率化に力を発揮しそうだ。つまり、企業の営業・マーケティング・顧客サービスなどの外向きの業務を全てまとめて管理できてしまう。これをクラウドと組み合わせて使うことになるので、全てMicrosoftということになりそうだ。

オンライン会議システムのTeamsでは、AIが議事録を作成して、そこで決まった内容を参加者と共有することも自動で行われる。さらには近い将来には、カレンダーとつなげて、会議で決まった別の会議を自動で設定して参加予定者に通知することも可能になると言う。

しかも、現時点ではまだ詳細は不明だが、3月16日にOffice 365に関する発表が行われるようだ。Word、Excel、PowerPointなどにAI機能が組み込まれて簡単に早く様々なアウトプットが作れるようになるものと想像される。

現時点でMicrosoftが提供しているのは、企業向けのDynamic 365 Copilotだが、これの個人向けサービスもやろうと思えばすぐにできる。個人的な様々な連絡やスケジュール管理など全てAIに任せておける。

スマホの時代になるまで、PDA、パーソナル・デジタル・アシスタントと呼ばれる小型端末でスケジュールやコミニケーションを行なった時代があった。この時は、PDAはあくまでも、そのための処理の端末であって、具体的な内容は本人が考えなければいけなかった。しかし、個人向けのcopilotができれば内容も全て任せることになるのかもしれない。例えば、しばらく会っていない友人に近況を尋ねるような連絡を行って、会うように促して、会う日程を調整すると言うような事まで自動化できる。

個人で行なっていたようなことは、AIで対応できるようになる事は確実だ。問題は、どこまでAIに任せるかどうかを決めることで、最終的な判断までAIに任せるような時代になると、人類の終わりが近い。

話が脱線したが、ともかく、AIを使ったMicrosoftの大攻勢はまだ始まったばかりで、様々な提案がなされるだろう。企業で今まで人間が対応していたようなことのほとんどは、AIが行えるようになっていくのは確実だ。

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