第3者クッキー廃止のテスト開始

by Shogo

Googleは、第3者クッキーの廃止を何度も延期してきた。今の期限は2024年後半である。今週、Googleは、Chromeから第3者クッキーを廃止する具体的なスケジュールを発表した。今度は本当のようだ。

Googleは第3者クッキーに変わる新しい技術として、Privacy Sandboxの構想と仕様を発表してきている。これはChromeのユーザ個人のプライバシーに配慮し、かつ広告配信に必要な情報を利用することのできる技術とされている。2023年7月に、広告を含むインターネット関連企業にPrivacy Sandboxのテストへの参加を求め、廃止への準備を開始する。

さらに2024年第1四半期に第3者クッキーの1%を廃止して、大規模な実験を行うことも併せて発表した。1%といっても世界で70%近いシェアを持っているChromeの1%だから、そのトラフィックは膨大だ。第3者クッキー完全廃止後のテストとしては十分であろう。この段階で広告事業者やインターネットサービス提供者はPrivacy Sandboxを用いたサービスの運用のテストを行うことになる

Privacy Sandboxは、個人を特定しないことが前提となった技術で、その点で第3者クッキーとは異なる。プライバシーを外部に公開することなく、ユーザの興味や関心を示すクッキーや、サイト訪問者に後から広告を配信するリマーケティングを行える技術が含まれているそうだ。この技術の精度がどれほどのものかは現時点ではわからない。

個人情報保護やプライバシーへの関心の高まりと共に、第3者クッキーを用いたユーザーの追跡について、インターネットユーザから多くの批判があった。

クッキーは個人情報とみなされていなかったが、この批判にも呼応して、日本でも2022年4月の改正個人情報保護法によりクッキーは個人関連情報と定義され、個人情報と紐付けを行う場合には、本人の同意が必要となった。このため、2022年段階からは、日本のサイトであっても、ポップアップでクッキー使用についての同意を求められるケースが増えている。

プライバシー保護のために、Google Chrome以外のブラウザでは既に第3者クッキーを廃止している。AppleはSafariの第3者クッキーを2017年から徐々に規制し、2020年3月に完全に廃止した。Firefoxも2022年6月に第3者クッキーを無効にしている。比べれば、Googleの対応はあまりにも遅い。しかし、Appleなどと違いGoogleは世界最大のインターネット広告企業だから、いきなり廃止とはいかず、代替技術の開発に時間がかかっているということのようだ。

インターネット広告の成長させてきたのは、第3者クッキーによるターゲット特定の精度や行動履歴の追跡だ。これにより効果のある広告配信や広告効果の測定が可能になっていた。インターネット広告の成長の中心に第3者クッキーがあった。既にSafariやFirefoxでは廃止されているが、利用者数が圧倒的に多いChromeから第3者クッキーが廃止されることで、広告の配信に関わるターゲティングの精度や、広告効果の測定がどのように影響受けるのか。その結果によっては、インターネット広告のこれまでの有効性が損われる可能性がある。

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