今週は、AppleがWWDC24(Worldwide Developers Conference 2024)を開催して、iOS 18 の詳細やApple Intelligence(AI)を発表した。今回は事前に報道されていた通りで目新しいことはない。
それより、TikTokのイメージ検索機能の導入が面白いニュースだ。このイメージ検索機能により、ユーザーはTikTok内で写真を撮影またはアップロードし、類似商品を見つけることができるようになる。Googleのイメージ検索に匹敵する利便性を、TikTokが独自に実現しようとしているのだそうだ。Googleレンズはよく使っているが、TikTokのイメージ検索は使ったことがないので記事から知ったことだけ書く。
TikTokのイメージ検索は、まずは米国と東南アジアのユーザーに限定公開されているそうだ。日本も含まれているようだ。対象ユーザーは、TikTok Shop内の検索バーにカメラアイコンが表示され、そこから商品の写真を撮影・アップロードできる。レストランで気に入った皿を見つけたら写真を撮って類似商品を探したり、高価すぎる洋服の画像を保存してよりお手頃な代替品を見つけたりと、直感的な商品検索が可能になるのだそうだ。テキストベースの検索に加え、画像を使った検索ができるようになることで、買い物が便利になる。
一方で、TikTokのイメージ検索には、プライバシー面での懸念も指摘されている。TikTokは大量のユーザーデータを収集することで知られ、親会社バイトダンスとの関係性から、画像データの収集について不安視する声もある。
TikTokは、ユーザーの端末情報、位置情報、IPアドレス、OSバージョン、通信キャリア、アプリやファイル名、検索履歴など、多岐にわたる情報を収集している。ユーザーの許可があれば、カレンダー、ハードドライブ、メッセージ内容、閲覧時間なども把握する。さらに、顔や声紋などの生体情報、クリップボードの内容、タイピングパターンまでも収集対象となっているそうだ。
これらの情報は、ユーザーの人物像を構築し、ターゲティング広告に利用される。年齢、容姿、友人・家族関係、興味関心、会話内容などを理解することで、TikTokはユーザー一人一人に最適化された広告を配信できるアルゴリズムを持っている。
加えて、中国の国家情報法により、TikTokが収集したデータが中国政府に提供される懸念も指摘されている。同法は、中国企業に対し、情報機関への協力を義務付けているためだ。しかし、TikTokは一貫して、中国政府へのデータ提供を否定している。また、ユーザーデータの保護に向けた取り組みも進めており、第三者企業の監督下で、ユーザーデータを管理する体制を整えつつあり、ユーザーデータの安全性をアメリカ政府などに訴えている。だが、こうした対策が不安を完全に払拭するには至っていない。
このような背景から、TikTokのイメージ検索は、ユーザーにとって利便性の高い機能である一方、プライバシーリスクも問題視されている。TikTokは設定画面でデータ収集を制限したり、アカウントを非公開にしたりする設定もできる。そのような設定は、TikTokに限らず、あらゆるアプリで個人情報保護の観点から重要だ。各アプリの設定を時々確認することを勧める。
Googleは、Google レンズでイメージ検索をほぼ独占してきた。Google レンズは、ウェブ全体から関連情報を見つけられる点が、TikTokとの違いだ。その意味では、直接の競合ではない。Amazonもイメージ検索を提供しているため、こちらは、ショッピング検索なので、TikTokはAmazonと競合しようとしていることになる。
TikTokのイメージ検索は、Googleのイメージ検索の牙城を揺るがす画期的な機能にはならないかもしれない。しかし、イメージ検索のシェアに、若いユーザーを中心にある一定以上の影響を与えることは確実だろう。