どこへ行ってもAIの話題ばかりだ。Nvideaが時価総額一位になったばかりだし、今週開かれている広告業界のイベントのカンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルでも、AIが大きな話題となっているようだ。
その報告記事を読むと、、多くの広告代理店やテクノロジー企業がその取り組みを披露して、AI技術が広告業界に新たな可能性をもたらしている現状がよく分かる。
今年のカンヌでは多くのグランプリ賞を受賞するなど、AIの話題がカンヌを席巻している。AI業界の主要人物もカンヌに行っている。OpenAIの技術責任者であるミラ・ムラティがアクセンチュアソングのCEOデビッド・ドロガと共に、AIとクリエイティビティについて議論したというし、OpenAIのCEOサム・アルトマンは、AIの進化が広告業界に与える影響について講演した。その中で、「広告代理店、、マーケティング戦略立案、広告制作の95%の仕事が、AIによって簡単に、ほぼ瞬時に、そしてほぼ無料で処理されるだろう」と予測したという。本当かな。かなりの部分だと思うが、95%はないだろう。
多くの広告代理店も最新のAIの取り組みを報告している。フランスのHavasは、今後4年間で4億ユーロをAI技術に投資する計画を明らかにしたし、WPPは、Nvidiaとの提携により、3Dプロダクトモデルを含むコンテンツ制作を効率化するAIシステム「Production Studio」を発表した。さらに、IBMとのパートナーシップを通じて、B2Bマーケター向けのAIソリューションも展開する計画も披露している。
また、Media.MonksはAdobeと共同で開発したAIツールを導入し、カスタマイズされたAI生成コンテンツシステムを提供していることを発表している。Nvidia、IBM、Adobeなどの巨大IT企業も広告業界にコミットしているようだ。
記事ではAIが成功を収めた例として、フランステレコムOrangeの「WoMen’s Football」広告が紹介されていた。AIを活用して視聴者の偏見に対処するディープフェイク技術を使用し、エンターテイメントライオン・フォー・スポーツのグランプリを獲得したと記事に出ていた。検索したが、この広告は、どこでも見ることができなかった。また、Mercado Libreの「Handshake Hunt」キャンペーンは、メディアグランプリを受賞し、AIを用いてメディアをスキャンし、視聴者の画面にQRコードを表示する技術を活用しました手法を発表したそうだ。
広告代理店だけでなく、テクノロジー企業もAIを活用した広告ツールを発表している。TikTokは、クリエイターとブランドがアバターを生成できるAI機能を導入したそうだし、Amazon Adsは、広告配置の最適化機能を備えた画像生成機能の新しいバージョンを発表したそうだ。Pinterestも、パーソナライゼーションと生成AIを組み合わせた新しい実験的マーケティングプログラムを強調している。
AIは、広告制作やコピーライティングの最適化、広告予算の最適化、広告キャンペーンの効果予測など、多岐にわたる分野で活用されるようになっている。現代の広告はAIなしでは成り立たないと言ってよい状況になりつつあるようだ。
広告主や広告業界は、競争力を維持するための新しい戦略を模索し続ける必要がある。広告は常に時代を映す鏡であり、新しいテクノロジーを取り入れながら進化を遂げてきた。AIを効果的に活用することは、彼ら自身の競争力維持にも重要な技術だ。だが、AI技術を手に入れて、そしてそれに振り回されるのではなく、広告の新しい時代をつくれるかどうかの岐路にあるのだろう。そこでは、やはり人間のクリエイティビティも必要になると信じたい。