OTTサービスとテレビ放送の今後

by Shogo

日本でも、アメリカを典型に全世界でも、ストリーミング・サービスの普及が、パンデミックを機に急速に普及した。これらのストリーミング・サービスは、技術的にはOTT(オーバー・ザ・トップ)に分類される。ビジネスモデルで、分類すると3つになる。広告が入るか入らないかで分けると、2種類。

広告の入るOTTサービスには、広告付きオンデマンド型のAd-Supported On Demand(AVOD)と、無料の広告付きストリーミングTVを意味するFree Ad-supported Streaming TV(FAST)がある。

広告が入らず、有料課金のみで行うビジネスはSubscriber-supported Video On Demand(SVOD)と呼ばれる。

整理すると以下のようになる。

  • Ad-Supported On Demand(AVOD)
  • Free Ad-supported Streaming TV(FAST)
  • Subscriber-supported Video On Demand(SVOD)

Ad-Supported On Demand(AVOD)は、日本では「TVer」や「GYAO!」、アメリカには「Roku Channel」や「Tubi」がある。ユーザーは、オンデマンドでコンテンツを視聴できるプラットフォームで、広告もついている。また、YouTubeのような動画共有サイトもこれに分類される。

Free Ad-supported Streaming TV(FAST)は、通常のテレビ放送に近いもので、中に広告が入ってくる。アメリカでは、「Pluto TV」や「Xumo」がある。日本では、思いつかない。まだ、この形式でストリーミングを行なっているサービスはない。

最後はSubscriber-supported Video On Demand(SVOD)で、Netflix、U-NEXT、Disney+、DAZN、Amazon Prime  Videoなどがある。最初に書いた通り、この3番目だけは広告は入らない。

SVODは、最もホットな争いが続いており、Netflix は2億人の加入者を2021年に突破した。Disney+ は、市場参入1年で全世界で9,500万人の加入者を獲得している。日本では、テレビの広告でDAZNの広告を見ることも多い。OTTサービスでは、このカテゴリーが目につきやすい。

広告付きのOTTサービスも、着実に視聴者を増やしており、広告主も広告費をOTTサービスにシフトしつつある。例えば、ディズニーでは、広告契約の40%以上がHuluを含むストリーミング・プラットフォームに割り当たと報じられている。また、NBCユニバーサルのストリーミングサービスのPeacockがシーズン前契約で5億ドルを受け取ったとう報道もある。広告費は、着実にストリーミングに向かいつつあるようだ。

今までのOTTサービスは、通常のテレビ放送と違い、ライブニュースや。スポーツ・授賞式などの大規模イベントには弱かったが、それも変わりつつある。DAZNがJリーグの権利を全て取り、さらにサッカー日本代表の全試合を放送するようになっている。また、アメリカでもAmazonは、Foxで放送されているNFLの「Thursday Night Football」のストリーミングを2022年に開始するそして、2023年シーズンから10年間の契約で独占的に配信することになる。つまり、2023年からはNFLの「Thursday Night Football」は、ストリーミングでしか見ることはできないのだ。

20世紀のメディアとして圧倒的に強かったテレビ放送は、OTTサービスにより、相対的に弱くなってゆく。問題は、どこまで弱いかだ。予想としては、ターゲット層やコンテンツ別に棲み分けてゆくのではないかと思っている。

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