DAZNが、スポーツ・ベッティングに進出する。DAZN BETの名称とロゴも発表されている。ベッティングは、どう訳しても賭けとかギャンブルになってしまうが、想像するにDAZNの母国のイギリスではもっと軽いものだ。日本ではIRに反対が多いように、ギャンブル依存症などネガティブなイメージが多い気がする。イギリスでは、街中にもカジノがたくさんあり、気軽に賭けを楽しんでいる。日本でも、パチンコ、競馬、競艇などその代表例あり、ギャンブルが禁止されているわけでもない。単に公営に限られているだけだ。
イギリスで、サッカーを見に行くとVIPエリアのレストランでは、賭けするためのマークシートの紙をウエイターが持ってくる。一度だけ、その賭けを当てて数万円を儲けた事があった。
DAZNはその前身のPerformの時代にも、ベッティングのための映像のサービスをB2Bで行う企業でもあった。その意味でベッティングまったくの新しい分野と言うわけでもない。
今回のスポーツ・ベッティングへの進出のパートナーとして、ベッティング・テクノロジー会社のPragmatic Solutionsと契約をし、ジブラルタルに本社を置く新会社を設立している。DAZN BETブランドのスポーツベッティングサービスは、簡単にベッドができるシステムを使って、2022年ー23年のサッカーシーズンの開幕に合わせて、ベータ版を開始する。さらに、ストリーミングサービス視聴とベッティングを組み合わせたサービスのも開発中だと言う。
ベッティングは各国ごとに様々な規制があり、それぞれの地域に合わせた対応が必要なために、DAZN BETが営業する地域が限られるようだ。日本でDAZN BETを開始するかどうかは現時点ではわからない。多分、無理だろう。
DAZNは、英プレミアリーグの放送権を持つBTスポーツの買収に失敗した後、プレミアリーグの日本での放送権の入札では、韓国Eclat Media Groupの「SPOTV NOW」に破れて、日本での放送権を失っている。「SPOTV NOW」の日本法人のLIVE SPORTS MEDIAは、英プレミアリーグを日本で配信することを正式に発表している。これで、プレミアリーグの放送を見たければ、LIVE SPORTS MEDIAとの契約が必要となった。
大幅な値上げを発表しているDAZNにとって、プレミアリーグなしのラインナップでは今の契約者を引き止めるのは難しいのと考えるのが普通だ。多分裏では、LIVE SPORTS MEDIAと試合を限定するなどとしたサブライセンスの契約交渉を行っている事は間違いないだろう。
DAZNは今年の2月から料金改定し、従来の月額料金1925円から3000円の値上げがされている。ドコモ経由の契約は、当初の月額料金は1078円だった。それが2020年9月から新規契約は1925円に値上げされて、初期に契約した契約者は1078円のまま据え置かれていた。しかしこの最初期の契約者の料金も1925円に引き上げられる。さらに今年4月18日以降に契約した新規契約者は、DAZNとの直接契約と同じように3000円の料金となる。ドコモ経由で契約するメリットは全くなくなっている。
この大幅な値上げが、契約者の離脱等を引き起こしてないのだろうか。しかも目玉の1つであったプレミアリーグもラインナップから失われた。DAZNもLIVE SPORTS MEDIAの発表に合わせて正式にプレミアリーグが放送されないことを発表している。
初期投資の大幅な赤字のためにDAZNのオーナーのAccess Industriesは42億ドルの新株を引き受けて、さらに貸付金を株式に転換するなどの資本の再構成を実施して、財務状況を立て直している。DAZN BETが新たな収益をもたらして財務の健全性をもたらすのだろうか。心配なのは、高額な放送権を獲得した後で破綻した企業の例も数多くあり、その結果としてそのスポーツ団体が財務的な困難に直面することもあった。Jリーグとの契約があるために、DAZNの経営状況如何ではJリーグも影響を受ける可能性があるために今後のDAZNの経営状況はどうなるか心配になる。