NHKの2020年国民生活時間調査によれば、1日にテレビを見る人は、国民全体で減少を続けている。特に16歳から19歳については、50%を下回っている。つまりテレビとは、10代ではほぼ半分にしか到達しないと言うことだ。
一方、16歳から19歳では1日にインターネットを利用する人は80%で、利用時間は2時間を超える。そのうち動画視聴している時間は1時間以上だった。このように若い世代はインターネットの動画視聴が主要なメディア接触になっている。
この若者のメディア接触の中で、重要なメディアとなってくるのが、動画共有サイトのサービスのYouTubeやTikTokだ。
このために、広告メディアとしてはYouTubeやTikTokは重要性をましている。TikTok が、アメリカで行った調査によれば、TikTokはブランドの想起に影響与えることがわかった。
この調査の対象者は明らかにされていない。参加人数や年齢などだ。それを置いておいて、内容を見ると、TikTokでの広告が加わることで、通常のテレビやストリーミングサービスだけの広告より、大きな効果を生むと、TikTokは主張している。
調査の参加者が、TikTokで、あるブランドの広告を見た後、テレビでそのブランドを見た場合、そのブランドへの注意力が4%上昇した。事後のアンケートで、複数の選択肢から、広告を見たブランドを選ぶ際にも、正答率が6%上昇したと言う。つまり、TikTokが、広告への注意力を喚起する。
ストリーミングサービスで最初に広告を見た後で、TikTokでそのブランドを見た場合には、注意が7%上昇、複数の選択肢からブランドを選ぶ正答率は8%上昇した。
反対に、テレビあるいはストリーミングサービスで、広告を見た後で、TikTokで同じブランドの広告を見た場合には、注意は16%上昇し、その商品への注意は13%上昇したという。後でTikTokで広告を見る場合の方が注意力は上がっている。だが、リアル社会では、順番はあまりコントロールできないので、参考データだ。
さらに面白いのは、ストリーミングやTikTokで、そのブランドを見た後の方が、ブランドに対して好意的になり、視聴者の11%が、そのブランドの広告は好感が持てると感じたと回答した結果が出ている。
ティックトックはこの調査の結果をもとに、テレビ広告の大手出稿企業に対してTikTokの広告の併用を勧めている。
当然のことながら、この調査があろうとなかろうと、通常のテレビでは、10代に対しては半分しか到達しないため、その世代がターゲットであるならば、TikTokを広告メディアとして使用しないと言う選択肢は無い。しかも、仮にテレビを見ていたとしても、手元にスマホがあって、ながら視聴しているというのが一般的だ。
一つ、不思議なのは、TikTokやストリーミングサービスで見た広告の方が好ましいと言う感じる事だ。アメリカの調査で、対象者は特に若者に絞られていないのかよく分からないが、TikTokやストリームスイミングサービスの方が、より身近なメディアとして感じていると言うことなのだろうか。調査からは何もわからないが、手元のスマホで見る広告の距離と、テレビで少し離れて見る広告の距離が関係するとか、そんな事が分かればさらに面白い。