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冬青社のギャラリーに渡部さとるさんの写真展を見に出かけた。冬青社は新中野の住宅街にあって初めて行くと分り難い。目印はこの店だが、写真を撮って初めて店の名前を知った。何度も通っているので細かいことは見なくて、この木の外壁だけを目印にしているのだ。この目印さえあれば冬青社にたどり着ける。
先日、「冒険王」のことを思い出して、その周辺の出来事やその時代を思い出したのだが、私たちの記憶にも何か目印やきっかけが必要なようだ。有名な例は「失われた時を求めて」のマドレーヌだが、何かをきっかけにして色々なことを思い出す。思い出した後は、そのきっかけが記憶の目印になって、少しづつその周辺のことを思い出す。でも少しづつ増えても行き詰まり、また何かのきっかけが必要になるようだ。
その後も、何かを見て何かを思い出すということが続くが、これは志向が過去に向いているのだろうか。過去を思い出そうとする目印やきっかけを必死で捜そうとしているのか。
渡部さとる写真展「Silent Shadow Aomori 2011」 は、新中野の冬青社で6月25日まで。渡部さとるさんらしい、階調の豊かなモノクロプリントが楽しめる。昨年末から青森の撮影を始め、震災後の春まで撮影されたそうだ。