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銀座は数十年前に働き始めた街だ。当時は路地の裏に安い居酒屋があり、はずれには飲み屋の屋台もあった。それが、今はヨーロッパのブランドのビルが聳える街になってしまった。
当時、高い店には行けなくて、安い店や屋台で飲んだ。今はきれいなビルが立ち並び、屋台の場所もなくなった。
それでも昔からの店も少しは残っている。
最近、飲みに行くのはそんな昔ながらの店ではなく、チェーン店の居酒屋だったりする。
若い時には野草には興味がなかったが。
ここなんかは若い時には入れなかった。今行くと、昔ながらの店で、チェーン店の居酒屋に慣れた身にはかえって落ち着かなかったりする。
路地もきれいに整理され、温かみが残っていない。路地の奥に赤ちょうちんとガラス戸があった時代は遠く過ぎた。
昭和通りの南側のこの店は今でも残っている。周りはビルになりすっかり風景が違う。
結局、年をとったのは自分だけでなく、銀座も街も年をとったのだ。