社員旅行

by Shogo

私の働いている会社は中国の現地企業だ。そこの提携している日本の

会社から送り込まれているのが私。なんとなく不思議な関係と環境。

そんな中、社長(中国風だと、総経理)から社員旅行への参加を依頼される。

チームワークを高めるための研修旅行として毎年実施しているらしい。

仕事があったし、東京からの出張者もいて夜の付き合いもあるのでと

丁寧に断ったが、私の行ける時間まで社長車を待機させるので

行って欲しいと懇願される。でも、不思議な日本人が行かないと

融和もできないので行くことにする。

会社は金曜日をお休みとして、特別な業務がない社員は朝からバスで

出発。場所は北京の北へ2時間弱程度の西三村。完全な農村だ。有名なのは

果物狩と淡水魚の料理だそうだ。万里の長城の観光地のひとつ、慕田峪長城の

少し手前だからそんなには遠くない。

社員は一日、チームワークを高めるゲームや研修をしていたらしいが、

仕事を終えた私は、金曜日夕方の行楽や別荘に行く車の列に巻き込まれて

到着したのはすでに6時前。

宿泊予定のホテル、というかアメリカの田舎にあるようなモーテルのような

部屋のホテルの庭先では、夕食のバーベキューの準備中。

羊の丸焼きがお迎えだった。それ以外に牛肉、鶏肉、羊肉、ソーセージが

串に刺されて焼かれるのを待っている。

そして、パーティの始まり、いきなり始まる乾杯の嵐。幸いなことに白酒はない。

すべてビールだからまだましかも。若い社員たちは私のテーブルに缶ビールを

2缶持って、次から次へ。一気飲みの競争をしようというのである。余興に

気軽に応じた私も3人終わるとさすがにやばいと思い始め。意味は知らないが

「スーイ、スーイ」と一気飲みは許してもらう。中には、全部飲めと強気の女性も。

社長があれほど私に参加を勧めたのにはこの目的があったのだろう。今まで

話したこともない社員までみんな私と乾杯に来るのだから、誰かに指示されている

に違いがないと酔った頭で思い始めた。社長はうれしそうに大丈夫かと何度も

聞いてくる。

それではと先制攻撃で、全てのテーブルを回って全員との乾杯もこなし、

すっかりビールでおなか一杯。かなり酔っ払ったところで移動開始。



場所を移して、キャンプファイアーの周りで、ゲームと余興大会。

私もいくつか出場して、一回は罰ゲームに。罰は、「得意の」中国語での挨拶、

通訳のユキさんの手伝いもあって何とか終了。

どこの国でも若者たちは同じだ。最後はダンス大会。社員の多くは20歳代から

30歳代前半、この時間になると中でも元気な人たちが踊り狂っている。

少し離れたカラオケ・ルームでは調子はずれな歌も聞こえて最高潮。

さすがに私は早めに失礼して、就寝。翌朝聞くと3時まで遊んでいたそうだ。

翌朝は、食事を済ませて、りんごと栗の農場へ。1時間くらい遊んだ後、

聖泉寺というお寺の近くへ移動。遠くの山のてっぺんに本堂が見えるが

さすがにそこには行かず、近くの田舎のレストランへ。

家族経営のその店に一行60人で貸切。食べきれないほどの田舎料理(だそうです)

の品数に驚く、写真をとった後でもまだ数品登場したから、20数品種。中国の

人は食事を大切にする。お昼は、冷たいおにぎり1個とかはありない。基本的に

冷たいご飯は食べないそうだ。だから飛行機で遅延の際にでる弁当もご飯は

熱すぎるほどの温度。日系の航空会社が冷たいサンドイッチを出して暴動が

起こったこともあるそうだ。

でも結局、テーブルの9人で半分も食べきれず、残りは犬の餌だそうだ。

中国にもったいないはない。基本的に食事は残らなければならない。

そうでなければ、量が足りないということでお客に失礼になるということ

だそうだ。多分、中国中で何トンという残飯が毎日発生していることだろう。

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