スマホのセキュリティ

by Shogo

巨大IT企業が最新の決算の数字で売り上げや利益の落ち込みを報告している。理由はインフレやそれ伴う景気の減速など様々あるのだろうがその辺の事はよくわからない。

巨大IT企業とひとくくりにしてしまうが、それぞれビジネスモデルが違っている。GoogleやMetaは広告ビジネス中心でAmazonは物販とクラウドサービスで、最近は広告にも力を入れている。Appleはハードウェアをベースにして、その販売したハードウエアの上で関連するサービスビジネスを展開している。

Metaの広告の落ち込みははっきりしている。全体的な広告ビジネスの減速もあるが、Appleのプライバシーポリシーの変更によりユーザーのトラッキングが困難になった事が大きな理由だ。Appleは最近は安全性やプライバシー保護を全面に打ち出しているから、その犠牲になったと言うことだ。

Appleは、最新の決算発表の中でAppleの端末が現時点でアクティブなものが20億台に達したと発表している。これは1年前の18億台から1割以上増えたことになる。Appleはこのアクティブな端末のユーザやユーザを対象にビジネスを行っているコンテンツやアプリ開発会社から手数料をとって利益を上げている。Apple経済圏と呼ばれるエコシステムだ。Appleの利益の3割から4割はこのサービス部門から稼いでる。

AppleのApp Storeにアプリの販売を委託する開発会社から徴収する30%の手数料について話題が多い。一昨年には、ゲームの「フォートナイト」の開発会社Epic Gamesと、30%の手数料を巡っての訴訟もあった。Epic Gamesとの訴訟では実質的にはAppleの勝訴で昨年に終わっており、現時点では、この手数料に挑戦する企業はいなかった。ところが意外なところに伏兵がいた。バイデン政権がGoogleとAppleのアプリの販売に関して問題視を始めた。ニュースによると論点は2つあり、1つは手数料の高さ、もう一つは独占の問題だ。

手数料に関しては、30%が高いのか15%なら良いのか議論の余地はあるのだろう。Appleは高い方が良いのでApp Storeで販売するアプリに関しては審査をしてセキュリティーチェックなどのコストがかかっていることを主張して30%必要だとEpic Gamesとの訴訟では主張している。これはアプリの開発会社とは交渉の問題だが、連邦政府となると話が違うかもしれない。連邦政府も同様に30%が高いか安いかを明確には判断できないだろう。ただしこの問題は比較的簡単に解決できる。理由がはっきりしない以上何%と決めればいいだけだ。

しかし、独占の問題については話が違う。アプリの販売をAppleが独占的に行っていることには理由がある。主にセキュリティーの問題だ。私たちが使うスマホは単純に電話ではない。スマホ使って銀行口座を管理すれば振り込みもする。クレジットカードを登録してあり様々な買い物も行う。だからスマホにとっては最も重要な事はセキュリティーだ。

公正な競争と言うことで誰でもスマホにアプリを販売できるようになれば結果は目に見えている。単に粗悪なアプリが溢れると言う事だけで済めば良いが、情報セキュリティーに大きな支障をきたす可能性がある。バイデン政権はそのようなことがわかっていないのか、公正な競争を金科玉条のごとく唱えているだけなのかよくわからないが、ことは簡単ではない。

今週、アメリカの上院議員が、GoogleとAppleに対してTikTokのアプリの配布を止めるように求めた。これはTikTokを通じて中国側にアメリカ人の情報が漏れることを恐れているからだ。TikTokの親会社のByteDanceは個人情報の管理は厳格に行っていると反論しているが、ByteDanceは中国の会社であり中国共産党のコントロール下にあることは間違いない。

これは、単に情報セキュリティの問題ではなく、国家の安全保証の問題になっている。アメリカの政治家はTikTokを通じて様々な情報が中国に漏れるかもしれないと主張している。例えば、TikTokで位置情報を把握し、その端末がCIAあるラングレーに通っていれば、その端末ユーザをCIA職員と認識できるし、バージニア州のアーリントンに通っていれば国防総省の職員と認識できる。このようなことを恐れているの発言だ。

スマホのアプリを誰でも簡単に販売できるようになれば同様のことがiPhoneでもAndroidでも起こってしまう。だからスマホの情報セキュリティと安全な動作確認のためには管理者がどうしても必要だ。ここに反独占の公正な競争を持ち込むところに大きな誤りがある。

スマホを含めて様々な情報端末に求める事は、使い勝手ももちろんだが、情報セキュリティーや安全性と言うことが最も重要だ。今回のバイデン大統領の発言でスマホのセキュリティーに関して大きな混乱が起きないことを望むだけだ。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!