Ad Ageが世界の広告会社のランキングを発表した。ベスト10は以下の通り。
Ad Age 広告会社売上ランキング ベス10 (数字は10億ドル)
1. WPP plc London 17.8
2 Accenture’s Accenture Song New York 16.0
3 Publicis Paris 15.0
4 Omnicom Group New York 14.3
5 The Interpublic Group of Cos New York 10.9
6 Deloitte’s DeloitteDigital New York 10.3
7 電通グループ 東京 9.5
8 博報堂DY 東京 7.4
9 IBM Corp’s IBM iX New York 6.8
10 Cheil Worldwide Seoul 3.8
このランキングを見てみると既存の広告会社以外から参入した企業が3社入っている。Accenture’s Accenture Song、 Deloitte’s DeloitteDigital 、IBM Corp’s IBM iXである。以前は、Ad Ageも、デジタルエージェンシーと言う枠で総合広告会社とは別のランキングを発表していたが、ランキングは一つになって、デジタルエージェンシー・ランキングはなくなっている。そのために、Vivendi’s Havasは、かつてはベスト10に入っていたが、押し出されて11位に下がった。
これはもはや広告業が、単なる広告媒体の買い付けや広告の制作に留まらなく、企業にとってのデジタル・トランスフォーメイションとしての経営戦略の一部になっていることを示している。このデジタル化した社会で企業が直面しているのは、ウェブメディアを通じたコミュニケーション・プロモーション以外にも、基幹業務、商品開発、物流、顧客データベース管理などの様々な事業戦略と結びついており、既存の広告会社では対応できない課題があるために、戦略コンサルやITソリューション会社の価値が高まったからだろう。このために、戦略コンサルやITソリューション会社は広告会社買収や人材の雇用を行い、広告コミニケーションの分野まで業務を拡大して対応してきた結果だ。
2022年の傾向としては、Accenture Songが前年の4位から2位に上がったことが目につく。全体的の広告会社の業績は、9.9%の成長。2020年にパンデミックの影響受けて大きく落ち込んだ業績は2021年に13.5%増と急激に回復したが2022年の成長率をそれには及ばない。
それでも業績の良かった分野は、プロモーションとイベントマーケティングの23.7%の増収、PRの12.4%の増収、CRM・ダイレクトマーケティングは11.7%の増収だった。
2022年の大きな出来事の1つは、電通グループが東京ベースの電通とロンドンベースの電通インターナショナルの2社でランキングに入っていたが、これが統合されて電通グループとして一体になったこと。それに既存の広告会社で唯一、デジタル部門の売り上げを発表していた電通グループが、それを止めたこと。これで大手の既存広告会社でデジタル分野の売り上げを発表している会社はなくなった。すでに全てがデジタル化されている社会において、デジタル領域だけを取り出して、業績を発表する意味はなくなっていたので当然のことだろう。