どのメディアを見ても、AIの話が多い。多くの人が、個人の作業効率を上げるために様々な使い方をしているようだ。そして、その活用の範囲は、個人の業務の範囲を超えて既存のサービスに組み込まれ、実用化されている。
3月にChatGPTのAPIが公開されたことにより、ChatGPTを組み込んだサービスが数多く登場した。主なものは、チャットボット本来の使い方、文章作成サポート、既存データ分析だ。
今までの、顧客対応などに使われているチャットボットは、事前に、用意された答えしか回答できないが、ChatGPTを裏側に組み込んで、用意されていない一般的な回答の役割を担わせるといサービスが登場した。
数として多いのは、やはり文章作成のサポートだ。業務用のメール作成の機能を既存のサービスに組み込むやり方が多い。面白いものでは、就活サービスの履歴書の作成サポートもある。簡易ブログのNoteも記事作成サポートをChatGPTを組み込んで開始した。構成を考えたり、記事のアイディアを羅助けてくれるようだ。
Instagramも、メッセージング機能にAIチャットボットの組込みを計画していると報道された。このAIチャットボットは、質問に答えたり、アドバイスしたり、メッセージの下書きをしてくれるそうだ。しかもこのチャットボットは性格を持っていて、その性格によってアウトプットが変わると言う。報道によれば、30種類の性格から選べるそうだ。
今後、なんらかの文章を書いたり、書類を作成したりする際に、AIツールを使わないという選択肢は無くなっていくと思われる。という私は、まだ全く活用できていないので、ChatGPT Plusに契約すべきか考え中だ。
広告業界では、かなり以前より「機械学習」という名前で、AIを様々広告の分野に活用してきている。これは広告主に広告テクノロジを提供するサービス企業から始まって、広告代理店、GoogleやMetaどの広告を販売している企業に至るまで同様だ。
広告分野で、AIの活用は3つの領域で行われてきている。広告配信、広告制作、広告効果予測・測定だ。
広告配信では、生活者の興味関心や行動分析して、適切なターゲットに広告を配信するためにAIが使われてきた。無数に近くあるような広告の中から最適な広告を選別して、どれにいくらで入札するかなどは全てAIのツールを行ってきている。これを表現するのに、以前は「機械学習」を使って精度を高めると言うような言い方をしていたが、今はAIで行うと言う言い方に変わったのだろう。特に、広告テクノロジーでのAIの活用は、特に来年の第3者クッキーの廃止に向けて、さらに、新しい技術の開発で進んでいくものと思われる。
広告制作の分野でもAIツールを使った広告コピー開発や広告バナー制作などのサービスは、多くの広告代理店が、AIブームの前から提供してきている。広告コピーの開発では、いくつかの広告代理店は、それを商品化してAIで広告コピーを作ると言うサービスを売り物にしているケースがある。そして、今回のAIブームで、特に昨年より画像生成AIがグラフィックの要素の開発で始まった。まだ、最終的な広告のアウトプットが画像生成AIで作られたというケースは日本ではないようだ。ただ、海外ではコカコーラが実際に作品を作って公開した。現時点では、著作権の問題もあり最終的な作品を作るというより、アイディア開発で使うということだろう。
広告の効果測定の分野でも同様にクリック率やコンバージョン率などの分析にAIは使われてきた。これは、今までのAIへの注目が低かっただけで、今後はもっとAIを使って分析というようになっていくのだろう。
広告分野でのAIの活用に関して面白かったのは、最近アメリカ広告主協会が、広告代理店がAIツールを広告主のための業務に使用する場合には、まず同意を取るべきだとの見解を明らかにしたことだ。これについては、様々な見方があるが、アウトプットが良ければそれで良いと思うので、発言の意図が理解できない。だが、確かに画像生成AIなどを使っている場合には、著作権侵害の恐れがあり、事前に広告主の同意が必要と言うのも理解できる。しかしながら、一律に広告主業務のために、AIツールを使う場合は、同意を取ると言うのも不思議な話だ。