NetflixやDisney+などの定額映像配信サービスの普及が進んでいるが、世界では、まだまだ高速インターネット通信を利用して、これらのサービスを見ることのできる人は限られている。国際電気通信連合のデータによれば、世界の固定ブロードバンド回線利用者は2021年で16.92%に過ぎない。モバイル通信でも、Netflixなどを見ることができるが、現時点では定額映像配信サービスの普及の限界点は低い。
世界銀行が発表した国別の固定インターネットブロードバンド通信の契約者数は、トップがドイツの44%、2位がアメリカの37%。日本は3位の36%となっている。日本の固定ブロードバンド接続の普及率はもっと高いと思っていたが、そうでもないようだ。たった36%とは非常に驚いた。考えていた感覚的な数字と大きな開きがあったからだ。まだまだ、DSL接続の利用も多く、モバイル通信経由のインターネット利用が多いのだろう。そういう私も広島にずっと住んでいるわけではないので、広島では、固定インターネット回線でなく、モバイルWi-Fiを利用している。
後進国で固定回線をひかずに、一気にモバイル通信を普及を進めることを、リープ・フロッグと呼ぶが、個人のレベルでもリープ・フロッグが起こっている。
同じく、世界銀行のデータによれば、スマートフォンの普及率は、1位がドイツとアメリカの82%、日本は3位の79%、エジプトで64%、 IT大国として知られるインドでも47%だ。多くの国の普及率は、これよりはるかに低い。誰でもスマホを使っているかと言う感覚になっているが、世界的に見ればまだまだ全員に行き渡っているわけではない。
2021年のスマートフォンの世界の販売数は14億3000万台だ。2015年以降は、毎年同じような販売数が続いている。故障や紛失、寿命を考えても、世界中には50億から60億台程度のスマートフォンがあると考えられる。また、モバイルデータネットワークはほとんどの国で整備されているはずだ。それでも普及率は低いのは、まだまだスマートフォンの通信契約は金額の面でハードルが高いのかもしれない。
それでも、時間の問題でスマホの普及は進むだろう。一方、先進国も含めて多くの国で、固定ブロードバンド回線の普及は進んでいないし、今後も進まないだろう。インフラとして遥かに安いコストでモバイルデータネットワークが整備できるからだ。
先進国においてもモバイル通信に切り替わってゆく。それが、現時点で日本でも固定ブロードバンド回線の利用者が少ない理由だろう。
実家の固定電話をモバイル通信の契約に切り替えた。基本料金が500円と通常の固定電話のそれの6分の1程度だからだ。今後このように固定回線はモバイル通信に切り替わっていく。日本の固定ブロードバンド回線は、今が上限で今後も普及が進むことはないと思われる。
確かに、インターネット接続をモバイルにするメリットはある。外出の際にも利用でき、この移動性が最も大きい。もう一つは面倒な工事が不要と言うことだ。
デメリットは、第一に考えられるのは、モバイルは固定回線に比べて、速度が遅く、信頼性が低いことだ。それから、一般的にはデータ制限があり、大量のデータを利用する際には、支障が生じる。といっても、大量に動画でを見るようなケース以外ではあまり起こらない。それと、居住地域によるがモバイルデータネットワークのカバレッジの域外であれば、そもそもサービスが受けられない。
このようなデメリットの部分は、今後モバイルデータネットワークの技術的な改善で解決すると思われるので、固定電話がモバイルに切り替わるように、インターネット接続も近い将来には、すべてモバイルになるのだろう。
未来の接続を考えていたら、パソコン通信を始めた頃の1980年代のダイヤルアップ接続を思い出した。最初は24K位のスピードであっただろうか。パソコンを回線に接続するまでピー・ガーと言う音がしていて、すぐには接続できなかったことを思い出す。
それを考えれば今は使った瞬間にインターネットに接続されるので、進んだものだと思う。いつの時代か、線を引いてインターネットに接続していた時代があったと笑い話をすることがあるのだろう。