調査会社のInsider Intelligenceが2022年12月に行った調査によると、YouTube Shortsは既に広告の主の43%が広告を買う媒体になっているようだ。しかしながら、先行するTikTokは75%に達し、Instagram Reelsも67%あるので、それに比べればまだ比率が低い。しかしながら、急速に広告主にも受け入れられていることのようだ。
2017年に公開されたTikTokに対して、YouTube Shortsは2021年7月にから一般公開されている。これは急速に普及が進んだTikTokへの対応をGoogleが考えた結果である。2019年からベータ版のテストが開始され、2020年9月にインドでTikTokが禁止された際にはインドのみにベータ版が公開された。その後2021年3月に米国で開始され、2021年7月に全世界での公開となっている。
YouTube Shortsは最長60秒の縦型か正方形の動画が表示される。基本的にはスマホ用の縦型動画だが、PCでも見ることができる。スマホで動画を見ることあまりないので、PCでYouTubeが見ることがあっても、縦型のYouTube Shortsの動画をPCで見る事は無いので、実は、YouTube Shortsをほとんど見た事は無い。しかしながら既に2022年2月の時点では全世界で5兆回以上の再生回数をとなっているようだ。
67%のInstagram ReelsはやはりInstagramと言うプラットフォームの強さが反映されている。Instagram Reelsは2019年11月にブラジルで開始され、その後フランスドイツと拡大されていった。この動きはYouTubeと同じくTikTokで対抗するものだと思われる。インドでTikTokが禁止された後には、Instagram Reelsもインドで公開され、その後すぐの2020年8月に北米を含む50カ国で公開されている。YouTube Shortsより1年先行したということだ。
Instagram ReelsはTikTokをターゲットにしたもので、縦型の動画を当初は15秒、後に30秒のビデオが作成できる。Instagramの提供する様々なフィルターが適用できるので、Instagramの演出的な効果を好む人には支持されている。
このようにInstagram ReelsとYouTube ShortsはTikTokが切り開いたスマホ向けの短尺動画の後追いサービスのために共通点が多い。いずれも最長で1分までとなっている。3者とも広告の収益化を可能としており、コンテンツ製作者を呼び込むための様々な対策をとっている。
違いは、Tik Tokが様々な音源の契約を行って動画に音楽をつけられるのに対して、Instagram Reelsはやや限定的で、YouTubeショーツはBGMの機能は無い。映像の編集機能はTikTokやInstagram Reelsが充実しているが、YouTube Shortsは基本的なもののみである。
TikTokは初期のダンスビデオで話題になったように、多くの音源を使って、ミュージックビデオのような動画が作れるために、若者に人気が高い。InstagramReelsは、Instagramユーザが主たるターゲットで、YouTubeに関してはYouTube投稿者がYouTube Shortsの配信も行っているためにユーザが重なっている。
Insider Intelligenceの調査は、広告代理業50社が対象になっているために、かなり広告市場の現状を反映するものとなっている。既に広告主の75%は利用するTikTokに対してYouTube Shortsが43%も利用されているのは少し驚きだ。プラットフォーム公開後、約2年間でTikTokの後ろ姿が見えてきたと言う状況なのだろうか。
67%のInstagram ReelsはやはりInstagramと言うプラットフォームの強さが反映されている。今後は、昨今のAIの技術革新も続いており、AIを活用した編集機能などの進化により、誰でも簡単に質の高い動画を作れるようになると予想されるので、市場が拡大して、どのプラットフォームも共存してユーザーを増やすだろう。
ただし、TikTokの米国での規制の問題も解決していないので不透明な要素もある。また、SNS一般として、プライバシーや著作権、有害コンテンツなどの問題もある。このため、各国政府は規制強化を検討しているので、サービスも変化が予想される。