Twitter買収から1年

by Shogo

イーロン・マスクによるTwitter買収から1年経ち、各メディアが振り返りの記事を掲載している。それを読んで、この1年起こったことを整理すると、6ポイントに整理できる。

まず、1番目はTwitterからXの名称変更がある。マーケティングの原則から言えば、認知度が高く短文によるツイートと言う形式を創造したTwitterと言うブランドを捨てるのは悪手である。しかし、イーロン・マスクはあっさりとTwitterと言うブランドを捨てた。今でも、「X」という際には(元Twitter)という但し書きが必要だ。

2番目はトランプ元大統領やその他の禁止されていたアカウントを復活させたことだ。これは買収完了前からイーロン・マスクが主張していたことで、予想されたことだ。彼の主張は民主主義を守るために誰の発言でも守ると言うことだった。彼は善悪の判断は誰もできないことを主張している。

しかしながら、多数のネオナチまで含む12,000もの問題のある発言をしたアカウントを復活させた事はメディアとしての良識を疑われるものであろう。確かに善悪の判断は一方的であってはならないが、明らかなヘイトスピーチなどは規制されるべきだ。現実にXでは人種差別、反ユダヤ主義などのヘイトスピーチが急増していると報道がされている。また、ウクライナにおける戦争やイスラエルとハマスの紛争についての偽情報がX上に蔓延しているようだ。

3番目は、2番目とも関連するが、投稿のコンテンツ管理をやめたことだ。以前はアルゴリズムと人間がコンテンツを確認し、問題のあるツイートには制限を加えていた。しかしこれが全て撤廃されている。多数の人員が確認業務に当たっていたが、これが全て解雇されて、その部門がなくなったようだ。

このために、問題のある投稿と一緒に広告が表示されることを恐れる広告主の多くが、広告の出稿を取りやめている。このためにイーロン・マスクの買収後の広告収入は半減したと言われている。

4番目は、イーロン・マスクが約束していた透明性が実現していないことだ。彼は、投稿の優先順位についての内部のアルゴリズムを透明性確保のために公開すると約束していた。そして、GitHubなどに主要なアルゴリズムが公開された。しかしながら、実際はすべてのアルゴリズムが公開されているわけではなく、完全な透明性が達成はされていないとの批判が多い。不透明な部分は、特にイーロン・マスクの投稿が優先されると思われるようなことなどいくつもある。

5番目は、ユーザへの課金の流れがあることだ。特に認証アカウントであったTwitter Blueは月額料金を支払わないと認証されなくなっている。逆に言うと、月額料金さえ支払えば認証されることになった。

さらに、まだ確定していないが、イーロン・マスクの発言によると、投稿するためには、月額1ドル程度の支払いをしなければいけないとの構想も出ている。これはボット対策ということだ。これが本当に実行されるかどうかは時点ではまだわかっていない。

6番目は、「やるやる詐欺」みたいなことだが、TwitterからXに変えて、中国のWeChatのようなスーパーアプリに作り替えると言う構想だ。これについては現時点ではまだ何も実現していない。そもそもWeChatはスーパーアプリになる前に、日本のLINEのように、ほとんどの人が使うインフラになっていた。Twitterは人気があるにせよ、WeChatやLINEのようにインフラになっているとは言えないアプリだ。だから、これが本当に実現するかどうかは現時点では不透明だ。

Xが問題を抱える中、Twitterと同様のサービスも立ち上がってきている。その代表はTwitterの創業者であるジャック・ドーシーのBlueskyで既に100万人のユーザを獲得したそうだ。そして、MetaもThreadsを公開してTwitterと同じようなサービスを開始している。Metaの他のサービスとの連携を生かして公開から5日で1億人を達成したと言われている。しかしながら、それが開始後すぐに、毎日利用するユーザ数は800万まで減少したことを調査会社のSensor Towerが発表している。しかしそれでも800万人だ。

これからXがどうなってゆくか不明だ。イーロン・マスクが課金モデルをさら導入して、広告と課金の折衷にするのか、今まで通り広告主体モデルにするのか明確ではない。世界一のお金持ちであるイーロン・マスクにしても、Xの投資は小さくはないだろう。融資している銀行や投資家もいる。どのようなビジネスモデルを考えているのか。1年経ってまだはっきりしない。今後の1年も同じな状況が続くのか、どこかの時点で諦めるのか彼以外には誰も答えを持っていない。

先週に続いて、今週も週末は4時起き。今朝も緊張が続く試合で、ながら見はできなかった。ジャパンと同じプールDの入っていたイングランドとアルゼンチンがベスト4に入った。決勝に進めなかったのが残念ながら、3位決定戦は良い試合だった。日本人としてもそれなりにうれしいものだ。旅行で知り合ったイギリス人に今日メールを送ろうと考えている。

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