Xの経営危機

by Shogo

X(旧Twitter)は、最も重要な収益源である広告収入に大きな打撃を受けているという。創業者のイーロン・マスクが反ユダヤ主義的な陰謀論を支持する投稿をしたことを受け、大手ブランドを含む100社以上の広告主が広告掲載を全面停止したか、停止を検討していることが判明した。

NYTが入手した内部文書によると、今年第4四半期の広告収入の減少は最大7500万ドルと見積もられているそうだ。Xにとっても、どのメディアにとっても最も重要な年末商戦シーズンに広告主の引き上げが相次ぐ事態は、極めて深刻な影響を及ぼす。

AmazoやAppleなどの巨大テック企業をはじめ、Airbnb、Netflix、Coca-Cola、Uberなど有名ブランド多数がすでに広告を停止。Microsoftなども停止を検討しているようだ。

この状況を受けて、イーロン・マスクは、ガザでの紛争に関連したコンテンツに対する広告収入は、イスラエルの病院やガザの赤十字などに全額寄付すると表明するなど、事態の収拾を図ろうとする姿勢も見せている。ただ、これが実際に広告主の信頼回復につながるかは不透明だ。

広告は、Xの主要な収入源で、昨年第4四半期の広告収入は15億7000万ドルに達していた。今回の一連の広告引き上げで、その9割にあたる14億ドル規模の広告収入の減少の可能性があるとみられている。これは、買収後に迷走を続けているXにとって決定的な打撃だ。9割減少は、倒産の危機と言っても良い。

マスクの買収後、追放アカウントの復活や投稿内容の管理をめぐる懸念などから広告主離れが進んでいた。それが、今回の反ユダヤ的投稿を機にさらに広告収入の減少が加速することが確実だ。

反ユダヤ主義的な陰謀論に与するオーナーのもとで、Xのブランドイメージがいっそう失墜し、広告収入の回復も見込めない状況が続く可能性が高いと見られる。Xの事業存続自体が危うくなる事態だ。

広告主の信頼損失とその影響

事業存続が難しくなっているのは、広告モデルのXに広告を出稿することが、広告主のブランドセーフティへの懸念が高まっているからだ。今のXは、社会的な議論を生む内容や、一部のユーザーによる過激な発言が生じることで、ブランドセーフティが脅かされる環境にある。これにより、広告主は自社の広告が不適切なコンテンツの隣で表示されるリスクを避けたいと考えるようになっている。実際に、一部の広告がヘイトスピーチや差別的なコンテンツのそばで表示されていたとされている。このような状況は広告主にとって大きなリスクであり、多くの大手企業が広告キャンペーンを停止する決断に繋がった。

デジタルマーケティングの世界で重要になっているソーシャルメディアプラットフォームが直面する課題は、広告主は、常にリスクにさらされていることだ。UGCと呼ばれるユーザーが作成したコンテンツの中に広告が表示され、そのコンテンツが問題がある可能性が否定できない。

カスタマイズされた広告プランの必要性

このような背景を受け、広告主が自らのブランドイメージを守りつつ、ターゲットオーディエンスにリーチするためには、カスタマイズされた広告プランが不可欠と思われる。Xのようなソーシャルメディアプラットフォームは、広告主の懸念を払拭するために、カスタマイズされた広告プランがなぜ必要と思われる。

投稿内容を限定したエリア・タイムラインを設定して、そこにのみ広告が表示される広告プランを至急作成すべきだ。広告主は、広告の位置、タイミング、コンテンツのタイプなどをコントロールすることで、ブランドイメージを守りながら、投資対効果の高いマーケティング活動を行うことができる。これは、ブランドセーフティを保ちながら、プラットフォーム上での広告を継続するための重要な手段となる。

フレキシブルな広告展開

広告主が、キャンペーンのパフォーマンスに基づいて広告プランを、今よりも更にリアルタイムで調整できるようになることも望ましい。これには、時間帯や地域、ユーザーの行動に合わせた広告配信が可能になることが含まれる。これは、デジタル広告は、かなりの程度実現出ているが、それをさらに強化すべきだ。そのためには、データ分析の強化が必要である。

コンテンツモデレーションの復活と強化

最も重要なことは、すでにイーロン・マスクが廃止してしまったコンテンツモデレーションの復活と強化だ。AI技術を活用し、不適切なコンテンツから広告を保護するためのフィルタリングシステムを強化する必要がある。ここが、結局のところ、Xからの広告主が離れている最大の理由だからだ。

まず、Xがカスタマイズされた広告プランを提供することは、広告主との信頼関係を再構築し、ブランドセーフティを確保する上で非常に重要と思われる。Xがこれらの対策を実施し、プラットフォームとしての価値を高めることができれば、広告収入の回復と経営危機からの脱却が期待できるだろう。

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