氷河期と人類

by Shogo

恐竜の歴史を調べた際、知らなかった事実に気づいた。無知の故だが、氷河期が恐竜の進化に大きな影響を与えたという点である。これに興味をそそられ、次に氷河期自体について調べてみた。すると、人類の進化や歴史にも、氷河期が重要な役割を果たしていたことを知った。

現在の地球はカイノゾイック氷河期の一環であるホロセン間氷期に位置している。氷河期は過去の出来事と考えがちだが、2023年現在も間氷期の最中にあるのだ。ホロセン間氷期は、約1万2000年前に最後の主要な氷河期が終了してから始まり、今日に至るまで続いている。

地球の気候史に目を向けると、少なくとも5回の大規模な氷河期が発生していた。地球の約45億年の歴史の中で、特に寒冷な気候が長期間続いた時代が5回存在した。これらの氷河期は以下の通りである。

  • ハーロニアン氷河期(約22億年前 – 21億年前)
  • クライオジェニアン氷河期(約7億2000万年前 – 6億3000万年前)、いわゆる「スノーボールアース」
  • アンディアン・サハラ氷河期(約4億5000万年前 – 4億2000万年前)
  • カルー氷河期(約3億6000万年前 – 2億6000万年前)
  • 現在のカイノゾイック氷河期(約3400万年前から現在まで)

ホロセン間氷期の恩恵により、人類は温暖な気候で農業を発展させ、人口増加や文明の進展を遂げた。実際に、恐竜の進化が氷河期に影響を受けたのと同様、私たちの現在の豊かな暮らしも、氷河期の影響と間氷期の恵みによるものである。

カイノゾイック氷河期は、新第三紀から始まり、始新世、漸新世、第四紀に分かれている。第四紀はさらに、鮮新世、更新世、完新世の三つの時期に細分化されている。完新世は、最後の大規模な氷河期が終了した後の時代であり、現在の間氷期、すなわちホロセン間氷期だ。

氷河期の発生メカニズムは複雑で、一つの要因によるものではない。主な要因として5つが挙げられる。

  • 地球のわずかな動き、軌道の離心率や軸の傾き
  • 大気の化学組成の変化、特に温室効果ガスの濃度
  • 大陸の配置とその影響
  • 海洋循環の役割
  • 太陽活動の変動

これらの要素は単独ではなく、相互に影響しあいながら地球の気候を形成している。それぞれは、決定的な要因ではなく、ごくわずかな変化が、大きな影響を生んでいる。バタフライ効果のようなことだ。

最近読んだ本でも、氷河期の初期は、わずかに温度の低い夏となり、冬の雪が解けず、また冬が来てというように徐々に地球が氷に覆われてゆくという話だった。先の5つの要因による、わずかな温度の低下が、そのような少し温度の低い夏をもたらすのだろう。

恐竜は氷河期に大きな進化を遂げ、生息地を変えた。人類にとっても氷河期は、進化の重要な要因となった。例えば、アフリカでの森林減少により、直立二足歩行を始め、手を自由に使えるようになった。また、氷河期による気候変動は、人類の祖先が移動し、環境に適応するために進化するきっかけとなった。最後の氷河期が終わった約1万2000年前から、人類は農業を始め、富の蓄積、国家の形成など文明の発展の道を歩み始めた。

未来を考えると、次の氷河期がいつ訪れるかが疑問である。自然なサイクルからは約5万年後に最も可能性が高いとされるが、温暖化ガスの増加の影響で、その時期はさらに未来へとずれ込む可能性もある。しかし、地球温暖化が進めば、人類が滅亡して、次の氷河期を目にすることはないかもしれない。

氷河期を調べながら、ジェームズ・ラブロックやアンドリュー・ワトソンのガイア仮説を思い出した。地球は一つの巨大な生態系として機能しており、その中での微細な要因や相互作用が、氷河期を含む環境の変化を引き起こしているということだ。そして、その影響や時間の経過が、システムに不安定な安定をもたらしているのである。このシステムの中で私たちは生まれ、影響を受け、現在の人類となったのだ。

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