「Privacy Sandbox」実行中

by Shogo

Googleは、Chromeから第三者クッキーを廃止した後の広告配信技術のテストを実施中だ。このテストをめぐって様々な憶測が流れている。最大のものは、競合する広告配信技術会社がテストに侵入して、結果を歪めているのではないかということだ。もちろん、これは多分、憶測に過ぎないだろう。

Google は、2020年1月に、2022年までにChromeの第三者クッキーを段階的に廃止する計画を発表した。その後、スケジュールは何度も延期され、最新の目標は2024年後半までに第三者クッキーを完全に廃止することだ。AppleのSafariやFirefoxに比べて第三者クッキーの廃止が遅れているのは、Googleにとって広告は主要事業であり、簡単には廃止できない。

2023年1月から、Googleは全世界のChromeユーザーの1%に対して第三者クッキーを制限している。これは、より広範な実施の前のテストだ。Googleは、規制当局の承認を待って、2024年第3四半期からChromeユーザーの100%に第三者クッキーを廃止する計画となっている。

Chromeからの第三者クッキー廃止は、デジタル広告業界に大きな影響を及ぼす。主に、広告ターゲティングと追跡の方法が大きく変わる。Chromeは世界で最も広く使われているブラウザであり、そのプライバシーポリシーの変更は、オンライン広告の仕組み自体に変革をもたらす。

第三者クッキーは、ターゲット広告、広告結果検証、不正防止を可能にし、デジタル広告にとって極めて重要だ。デジタル広告の急速な成長は第三者クッキーがあったからこそだ。これを廃止するには、デジタル広告の仕組みを大幅に見直す必要がある。

Googleが提案する解決策は「Privacy Sandbox」構想で、第三者クッキーとほぼ同じ広告機能を提供することを目的とした新しいブラウザAPIのセットだが、ユーザーの身元を公開しない。しかし、これが効果的に機能するかどうかについては懸念がある。この性能をテストするために、1%のユーザーからデータを集め始めたという段階にある。

Tradedesk社のような競合アドテク企業は、「Unified ID 2.0」のような代替識別子ソリューションを推進しており、将来はGoogleの圧倒的な広告技術の独占のままか、競合企業も広告取引に自由に参加できるかという議論と予測が起こっている。

全体として、第三者クッキーが正確かつ容易に使えてきたので、広告業界は第三者クッキーの喪失に対する準備ができていない。これまでのところテストは限定的で、キャンペーンパフォーマンス、広告価格、メディアの収益への影響についてはまだ把握できていない。

広告業界における主な懸念は、第三者クッキーの代わりにどのような技術が使用されるか、そしてそれがデータのプライバシー保護にどのように寄与するかだ。Googleが提案する「Privacy Sandbox」は、ユーザーのプライバシーを保護しつつ効果的な広告ターゲティングを実現することを目指すとされているが、広告業界内ではその実現可能性や公平性に対する心配がある。

広告業界は、この変化にどのように適応し、新しい技術や戦略をどのように取り入れていくかが、今後の大きな課題となっている。また、広告主やメディアにとっても、ターゲティングの精度や広告収益に影響が出る可能性があるため、新しい技術やアプローチについての理解と準備が喫緊の課題だ。

第三者クッキーの代替案としてはいくつかの技術・手法がある。

第一者クッキーデータの重視  第三者クッキーの代わりに、企業は自社のウェブサイトやアプリを通じて直接収集した顧客データ(第一者クッキーデータ)を活用する。これにより、ユーザーの同意に基づいた透明性の高いデータ収集が可能になる。

「Privacy Sandbox」 Googleの新しい広告配信・追跡フレームワークだ。これは、個々のユーザーを追跡する代わりに、類似の閲覧行動を持つユーザーグループ(コホート)に基づいて広告をターゲティングするす。

Universal ID  第三者クッキーに代わるもう一つのアプローチは、Universal IDの使用だ。これは、ユーザーが複数のサイトで共通のIDを使用することで、異なるサイト間でのユーザー追跡を可能にする。

コンテキストベースの広告  コンテキストベースの広告は、ユーザーの行動ではなく、ウェブページの内容や文脈に基づいて広告を配置する。これにより、プライバシーを侵害することなく、興味・関心に基づいてたターゲティングが可能となる。ただし、これは伝統的メディアの時代と同じ方法をAIなどを使って行うということだ。

機械学習とAI 機械学習とAIを使用して、膨大な量のデータからパターンを識別し、より効果的な広告ターゲティングを行う方法も研究されている。これはまだまだ構想段階だ。

これらの広告配信の代替技術は、プライバシーの保護と効果的な広告配信のバランスを取るための新しい方法を志向している。しかし、これらの技術が広告業界の標準として受け入れられるまでには、さらなる開発と調整が必要だ。また、これらの技術が広告主、メディア、そして最終的には消費者にどのように影響を及ぼすかも、今後の重要な議論となる。

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