Perplexityが広告に参入するということが、しばらく前に報道された。今回は、そのニュースの続報だ。新しい広告モデルの話だ。Financial Times(FT)が報じたところによれば、PerplexityはNikeやMarriottなどの企業と新しい広告のシステムについて話し合いを進めているとのことだ。このシステムは、従来の Googleのような入札ベースの広告システムを刷新し、AIの力を活用した新しい形の広告モデルを提案するものだそうだ。これだけでは、「よく分からない。
Googleが長年採用している検索連動型広告の入札ベースの広告システムでは、企業が特定の検索クエリに対してスポンサーリンクのリスティング広告を掲載するために入札する。しかし、Perplexityの新しい広告モデルでは、「スポンサー付きの質問」に企業が入札できる仕組みを導入しようとしているのだそうだ。このモデルでは、AIが生成した回答を企業が承認する形で、ユーザーに提供するという新たなアプローチを採用する。
これは従来のリスティング広告とは異なり、単なるリンクではなく、AIが生成した包括的な回答を提供することが特徴だそうだ。ユーザーが求める情報に対してAIが最適な回答を生成し、さらに関連するフォローアップの質問も提案する。この一連のプロセスの中で、企業が回答に対してスポンサーシップを提供することで、ブランドの認知度向上や購買促進が期待される。つまり、」テレビの番組提供のように、検索のスポンサーになるということのようだ。
PerplexityはすでにNikeやMarriottなどの有名ブランドと話し合いを進めており、広告モデルの実現に向けた準備を進めているそうだ。これらの企業は、質の高い広告体験を提供することを求めている。今の普通のネット広告では、問題のあるサイトもあり、質の高い経験と呼べないことが多いから、そのようなニーズが有るのかもしれない。
Perplexityが提案する新しい広告モデルは、単なる宣伝手段にとどまらず、ユーザーが実際に求めている情報に関連した高品質な回答や関連する情報を提供することで、広告の有用性を高めようとしているのだそうだ。これにより、企業は単なるバナー広告やリンク以上の存在感を持つことができ、ユーザーにより強いインパクトを与えることが目的だという。
Perplexityの、この新しい広告モデルが注目される理由の一つは、広告を自然な形でユーザー体験に組み込もうとしている点だという。雑誌のタイアップ記事のようなものだろうか。ただし、意図はわかるが、広告を自然な形で出稿することができるかについては、多少疑問がある。そうは簡単なことではない。
それは、広告はどこまで行っても広告だからだ。Perplexityが言う通り、「Perplexityのプラットフォームに広告がシームレスに統合され、ユーザー体験を損なうことなく展開される」とは、簡単には信じられない。
従来のネット広告は、多くの場合、ユーザーの注意を引くために派手なデザインや目立つ配置が求められてきた。それは、当然だ。誰も求めないものを、無理に見せなければならないからだ。しかし、Perplexityが言うには、AIが生成する回答と広告が一体化し、ユーザーにとって自然な流れで情報が提供されるため、広告が目障りにならないという。これも、楽観的すぎる。
このシステムにはいくつか課題がある。まず、広告と正当な情報源をユーザーが明確に区別できるようにすることが求められる。透明性を維持し、検索体験の信頼性を損なわないようにすることが重要だからだ。ここを明確にしないと、ステマのシステムを構築することになってしまうからだ。
AI技術の進化に伴い、広告業界でもAIの活用が進んでいる。最近では、HubSpotがAIを活用したプラットフォーム「Breeze」を発表し、マーケティング技術を変革した。ここシステムでは、AIがユーザーのデータを分析し、過去の閲覧履歴や購買履歴を考慮した最適な商品を短時間で提供することができるため、企業の売上向上に大きく貢献することが期待されている。
Perplexityが導入を計画している新しい広告モデルは、AI技術を駆使した、今までにないものだということだ。従来の検索エンジン広告とは一線を画し、ユーザー体験と広告を自然に融合させることを目指している。これが、Googleの支配するデジタル広告市場に挑戦するPerplexityのこの新たな取り組みとなる。これが、本当にうまくいくなら、広告のあり方そのものを変革する可能性を秘めている。うまくいくならだが。