毎日のニュースはAIに関するものが多い。今朝もAI関連の雇用が急増しているというものがあったが、一番面白かったのはOpenAIの巨額の損失とChatGPT Plusの値上げの記事だ。
ニューヨークタイムズの記事では、独自に入手した内部資料によるとOpenAIは2023年初頭から驚異的な成長を遂げ、8月には月間収益が3億ドルに達し、前年同期比で1700%もの増加を記録した。年間売上高は今年37億ドル、来年には116億ドルに達すると予想されている。短期間で2兆円近い売上を達成することになる。
しかし、その輝かしい成長の裏で巨額の損失を抱えていることが、資料から明らかになった。
サービスの運用コスト、従業員の給与、オフィス賃料など、巨額の費用が発生しており、今年は約50億ドルの損失を見込んでいるとのことだ。この分析には、株式報酬やその他の大規模な支出は含まれていないという。
OpenAIの収益源の一つであるChatGPT Plusは、現在約1000万人のユーザーが月額20ドルで利用している。内部資料によると、OpenAIはこの料金を年末までに2ドル値上げし、今後5年間でさらに大幅に値上げして44ドルにする計画だそうだ。個人的には課金していないが、個人が使う際に月額44ドルをはらうのは、よほどのリターンがなければ難しいかもしれない。たまに何かを聞いてみるといような使用方法では無理だ。
OpenAIの急成長は、2022年末にリリースされたChatGPTが牽引していることは間違いがない。ChatGPTは、当初は個人使用中心だったと思われるが、企業向けの新しい製品や、AIによる画像・動画生成ツールなど、様々な分野で活用され始めている。
しかし、OpenAIは、この成功を収益に結びつけるという課題に直面しいる。これは、これまでのテクノロジー企業によくあるパターンだ。急増する支出と収益のギャップは、テクノロージー企業が抱える悩みだ。これを、資金のバーンレート(燃焼率)という表現のように、現金を燃やしながら事業を続ける。資金が続き、IPOすることで、やっと回収段階に入る。
記事によると、OpenAIは、2029年までに収益を1000億ドルにまで拡大し、巨大企業に匹敵する年間売上高を目指しているという。8月の収益は前年比で3倍以上になり、6月までにOpenAIのサービスを利用している人は3億5000万人に達し、3月の1億人から大幅に増加している。
しかし、最先端のAIモデルの開発と維持には莫大な費用がかかるのは当然だ。これらのシステムの複雑な計算処理の要求と、人員やインフラストラクチャの増加を含む急速な拡大により、財政的な圧力は高まっている。
OpenAIは、ChatGPT Plusの値上げや、新たな収益源の開拓など、収益増加に向けた取り組みを強化していくと予想される。Appleとの提携で、Apple Intelligenceの頭脳になることからはAppleからは対価の支払いがないと言われているから、OpenAIがどのようにして、当面の資金調達ができるか、B2B領域などで収益を伸ばせるのか注目される。