Metaは、AI技術を駆使した新たな機能を次々と発表し、ユーザー体験を継続的にアップグレードし続けている。今回発表したAI生成画像や多言語対応の自動翻訳ツールの実装は、注目すべき動きと言える。これらの新機能は、ソーシャルメディアにおけるコンテンツ発信と視聴のあり方を大きく変えるかもしれない。
まず、AI生成画像によるパーソナライズ化されたコンテンツ体験の導入だ。Metaは、ユーザーの興味やトレンドに基づいてAIが生成した画像をInstagramやFacebookのフィードに表示する新機能をテスト中だという。これには、ユーザー自身の顔を組み込んだ画像も含まれる可能性があり、パーソナライズ化されたコンテンツ体験を提供することが狙いだと言う。突然、タイムラインに自分が現れたら驚くが、面白いと思う人も多いだろう。
この機能は、ユーザーが自分の顔をAI画像生成に使用することに同意した場合にのみ利用可能となる。これは当然だろう。また、生成された画像はユーザー自身にのみ表示される。友達やパブリックに共有は、その設定をしなければ表示されない。
AI生成画像はユーザーの興味関心に基づいてパーソナライズ化されており、より魅力的なコンテンツ体験を提供する。Instagramのようなソーシャルメディアプラットフォームは、投稿やコンテンツ消費が増えて広告チャンスが拡大することで利益が上がる仕組みだ。だから、炎上も含めて投稿やコンテンツ消費を増やす刺激策をとってきた。それが、AI生成画像で投稿が増えるなら、簡単に広告チャンスが拡大する。
続いて、自動翻訳ツールだが、これも意図は同じだ。多言語対応でコンテンツのリーチが拡大する。FacebookとInstagramのリール動画の音声を自動的に翻訳するAIツールが発表され、これで言語の壁を乗り越えて、世界中で同じコンテンツが消費される道を開く。このツールは、自動吹き替えとリップシンク技術を用いて、まるで話者が別の言語で話しているかのように自然な翻訳を実現すると言う。これまで、言語の壁の中でしか、特定言語のコンテンツは消費されなかったが、これからは全ての投稿がグローバルなリーチを持つ。
現在、このツールは英語とスペイン語の翻訳をテスト中だと言う。将来的にはさらに多くの言語に対応する予定で、当然のことに日本語も対象になるだろう。日本人のInstagramクリエイターも、この機能により、言語の壁を越えてコンテンツを発信できるようになる。
MetaのAI戦略は、AI技術を積極的に活用することで、ユーザー体験の向上とプラットフォームの魅力とリーチを高めようとしている。AI生成画像と自動翻訳ツールは、その戦略を象徴する存在と言える。
Metaは、以前よりAI技術に積極的な投資を行ってきた。まず、大規模言語モデル(LLM)として、 Llamaがある。これは、テキスト生成、翻訳、要約、質問応答など、様々な自然言語処理タスクを実行できる強力なAIモデルだ。そして、Meta AIアシスタントはLlama 3を基盤として、Instagram、Facebook、WhatsApp、Messengerといったプラットフォームでの検索機能の強化に活用されている。今後Meta AIアシスタントは、ユーザーの日常生活をサポートする便利なツールとなることが期待されている。
Llamaは、他のLLMと違い、オープンソース化されているために、多くの領域で活用が始まっている。中小企業や個人でも、独自AIを持つことができるから、秘密保持などを考慮すれば、大企業でも使うニーズはある。
そして、今回発表された画像生成AIと音声翻訳AIだ。これらのAI技術は、Metaのプラットフォームをよりパーソナライズ化し、魅力的なものにするために活用される。AI生成画像はユーザーの興味に合わせたコンテンツを提供し、自動翻訳ツールは言語の壁を取り払ってコンテンツへのアクセスを容易にする。
AI技術は、今後は活用の場が重要だ。ChatGPTやGeminiも、いくら広告しても一般の人に使わせるのは難しい。だから、ChatGPTのOpenAIはAppleと組んだ。Metaは、AppleのiPhoneと同様に、ユーザーの手元にあるプラットフォームを持つ。ここで、AI技術を使わせることができるのは、Metaの大きな強みだ。多分、Metaは、 InstagramやFacebookに様々なAI技術を使ったサービスを導入し続けるだろう。