Googleが検索を根本から変えようとしているようだ 。その中心にあるのは、最新のAIモデル「Gemini 2.0」を統合した「AIモード」だ。これは、従来の検索結果表示を刷新し、ユーザーとの対話を通じて、より充実した、よりパーソナライズされた情報提供を目指すものだそうだ。この変化は、単に検索の利便性を向上させるだけでなく、広告ビジネスにも大きな影響を与える可能性があるだろう。
AIモードとは
Googleが「AIモード」を導入したのは、ChatGPT時代になって、ユーザーがより複雑な質問や、深い洞察を求めるようになったからだ。従来の検索では、キーワードに基づいて関連性の高いウェブページを表示するだけだったが、AIモードでは、Gemini 2.0がユーザーの質問を理解し、整理された回答を生成する。
例えば、「デジャブのメカニズムと記憶との関連性」について質問した場合、AIモードは複数の情報源からデータを抽出し、分かりやすくまとめた回答を提示する。また、「日比谷公園で写真撮影に最適な時間帯」を尋ねれば、天気予報や日没時間、混雑状況などを考慮した上で、具体的な提案を行うことができる。
これは、単なる情報検索を超え、課題解決を支援するコンシェルジュのような役割を果たすことを意味するし、それを目指している。Googleは、このAIモードを「重労働を肩代わりし、情報を整理して消化しやすい形で提供する」と説明している。
Gemini統合の独自性
AIモードの最大の特徴は、Googleが長年蓄積してきた膨大な検索データと、最先端のAIモデル「Gemini 2.0」を組み合わせている点だろう。これにより、ユーザーは高品質なコンテンツへのアクセスだけでなく、より深い情報やGoogleの持つインサイトも活用できる。
他のAIチャットボットとは異なり、AIモードは複数のGoogleの持つワセリンサービスから情報を統合し、非常に具体的な回答を提供するという。例えば、天気予報、地図情報、ローカルビジネス情報などを組み合わせることで、ニーズに合わせた最適な提案が可能になる。
AIモードの課題
しかし、Googleは、AIモードがまだテスト段階であり、「常に正しいとは限らない」と認めている。AIが不正確な情報を提示する可能性はある。これは、どのAIも同様だから仕方ない。
現在、AIモードはGoogle One AI Premiumユーザー(月額20ドル)のみが利用可能で、Google Labsから手動で有効化する必要がある。しかし、他のLabs機能と同様に、将来的にはすべてのユーザーに提供されるだろう。
また、これは良い配慮だと思うが、AIによる回答を好まないユーザーのために、AIモードは独立したタブに配置されており、意図せずにAI回答が表示されることはない。Google Oneに契約しているので試した見たが、日本ではまだ使えないようだ。
広告ビジネスへの影響
Gemini統合によるGoogle検索の変化は、広告ビジネスに大きな影響を与える可能性がある。
AIモードがユーザーの質問に直接回答するようになると、従来の検索結果ページへのクリック数が減少する可能性がある。これにより、検索広告の表示回数やクリック率が低下し、Googleの広告収入に影響を与える可能性がある。また、広告主は、より対話的で、ユーザーのニーズに合わせた広告戦略を検討する必要があるだろう。
そして、AIモードの対話型インターフェースを活用した、新しい広告フォーマットが登場する可能性がある。例えば、AIがユーザーの質問に回答する際に、関連性の高い広告を自然な形で組み込むことができるかもしれない。これにより、ユーザー体験を損なわずに、効果的な広告配信が可能になるだろう。
さらに、メディアビジネス影響を与えるのが、SEOだ。AIモードは、ウェブページのランキングだけでなく、コンテンツの質や関連性を、これまでよりも、さらに重視する。メディアや企業のSEO担当者は、単にキーワードを最適化するだけでなく、ユーザーの質問に答える質の高いコンテンツを作成する必要があるだろう。広告モデルのメディアにとっては大きな問題だ。
Google検索へのGemini統合は、検索体験を根本から変え、広告ビジネスにも大きな影響を与えるだろう。広告主は、この変化に対応し、新しい広告戦略を検討する必要がある。それは、AIモードの特性を理解し、対話型広告やコンテンツマーケティングを強化することだ。さらに、SEO戦略を見直し、質の高いコンテンツ作成と構造化データ活用に注力することも必要だろう。
長年、インターネットの情報取得のインフラとも言えるGoogle検索が大きく変わりそうだ。