SNSはタバコと同じ?

by Shogo

ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事が、ソーシャルメディアを規制する法案に署名した。この法律は、自動再生や無限スクロールといった機能を若年ユーザーに提供する前に、ソーシャルメディアプラットフォームに警告ラベルの表示を義務付けるものだ。タバコやアルコールのパッケージに記される健康警告のように、ソーシャルメディアにもまた、利用の「中毒性」を示す表示が課されることになる。

この法案によれば、「中毒性のあるソーシャルメディアプラットフォーム」とは、無限スクロール、自動再生、プッシュ通知、「いいね」カウント機能などを主要サービスの一部として提供する媒体を指す。そして、十代のユーザーがこれらの機能を最初に使用する際、および定期的に、警告が表示されるという。ユーザーはこれらの警告をスキップすることはできない。これは、タバコに表示義務が課せられている警告と同じだ。

神経科学が示す脆弱性

ソーシャルメディアの中毒性は偶然ではなく、プラットフォームの収益を拡大するために設計されたものだ。無限スクロールは、脳の報酬系の基本的な特性を利用する。新しい興味深いコンテンツを発見するたびに、脳はドーパミンを放出する。スロットマシンのように、報酬が予測不可能であるほど、次の報酬を求めて脳はスクロールを続けてしまう。

問題は、使用時間そのものよりも、依存性のある使用方法にある。アメリカの4,000人以上の青少年を対象にした研究によると、スマホやソーシャルメディアに依存性の高い使い方をしている子どもは、依存性の低い子どもと比較して、自殺行動のリスクが2〜3倍高い。対照的に、単純な使用時間自体は自殺行動やメンタルヘルスのリスクとの関連が明確に見られなかった。つまり、どのように使うかが核心なのようだ。

ソーシャルメディアは、単なるコミュニケーションツールではなく、未成熟な脳にとっての「デジタルドラッグ」になり得ると、社会が認識し始めていることの結果が、この法案だ。

ドーパミンの間欠強化

ソーシャルメディアの依存の原因は、脳内の快楽物質ドーパミンだ。ソーシャルメディアのアルゴリズムは、ギャンブルと同じ「間欠強化(いつ報酬がもらえるかわからない状態)」を巧みに利用しているという。いつ「面白いもの」が出るかわからないからこそ、脳は期待感でドーパミンを放出し続け、指を動かすのを止められなくなるのです。特に発達段階にある若者の脳は、この刺激に極めて脆弱だ。

-ギャンブルと同じ「当たり」の心理学

間欠強化とは、何かをしたときに、報酬(当たり)がもらえる時と、もらえない時がバラバラな状態を指す。心理学者のB.F.スキナーが行った有名な実験がある。

  • パターンA(連続強化): レバーを押せば、毎回必ずエサが出る。
  • パターンB(間欠強化): レバーを押しても、エサが出るのはたまにだけ。

ネズミがより必死に、そしてエサが出なくなってもレバーを押し続けたのは、後者の「たまにしか出ない」パターンBだった。「次は出るかも」「もう一回やれば当たるかも」という期待が、行動をエスカレートさせる。

-SNSの「更新」はスロットマシン

現代のソーシャルメディアは、このネズミの実験を私たちの指先で再現している。スマホの画面を指で下に引っ張って更新する動作が、スキナーの実験のスイッチだ。更新しても、自分にとってつまらない投稿ばかりの時もある。

しかし、時として推しの最新画像や大量の「いいね」通知という最高の報酬が現れる。

素晴らしい情報に出会えるかわからないというランダム性が、脳を刺激する。脳内では、報酬を期待した瞬間に快楽物質であるドーパミンが大量に分泌され、指が勝手に次の更新を求めて動いてしまう。

世界的な規制の潮流

オーストラリアは、2024年11月に「オンライン安全改正法(SNS最低年齢)2024」を可決した。16歳未満のユーザーがSNSアカウントを作成することを禁止し、プラットフォーム運営者に未成年者のアカウント作成を防ぐための合理的措置を講じることを義務付ける、国家レベルでは世界初の試みである。この法律は2025年12月に施行。対象にはInstagram、TikTok、X(旧Twitter)などが含まれるが、YouTubeやオンラインゲームは規制対象外とされている。

カリフォルニア州もまた、類似の動きを見せている。2024年12月に提出された法案AB56は、ソーシャルメディアプラットフォームに対して警告ラベルの表示を義務付けるものだ。この法案は、1日3時間以上ソーシャルメディアを利用する青少年が、メンタルヘルスの問題を抱えるリスクが2倍になるという内容の警告を表示することを求めている。2025年10月に可決されたこの法律により、18歳未満のユーザーには、ログイン時に10秒間のスキップ可能な警告と、3時間以上使用した場合には30秒間のスキップ不可能な警告が表示される。

ニューヨーク州では昨年、18歳未満のユーザーの個人データを収集・販売する前や、子どもに「中毒性のあるフィード」を表示する前に親の同意を必要とする法律も可決されている。そして今回の法案署名により、警告ラベルはタバコやアルコールと同じ、健康を脅かす製品に付けられるマークの一つになった。

昨年からデジタルデトックスで、ソーシャルメディアを普段は使わないようにしている。この季節は、海外の友人に季節の挨拶のためにアクセスするのだが、楽しそうな写真が見えて時間を使ってしまいそうなので、メッセージを送って早々にタブを消した。

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