Facebookが社名をMETAと変えた。ロゴは、METAの文字と無限大のマークをデザインした図形との合成となっている。しばらく前から社名の変更はニュースになっていたので。予定通りと言うことなのだろうか。
しばらく前から、Facebookはメタバースと言う言葉を何度も使ってきている。その「メタ」が社名になって少し拍子抜けした。もう少しひねりがあるのかと思っていたら直球勝負だった。
Facebookは、このところInstagramの青少年に与える影響の問題や内部告発者による公共の利益より自社の利益を優先してきた経営姿勢の指摘など多くの問題を抱えて、企業イメージが大きく傷ついていた。そのような企業イメージの毀損を改善する方法として、いくつかの企業は社名を変更した。タバコの健康被害の問題があったフィリップモリスは、社名をアルトリア・グループに2001年に変えている。
また理由は違うが、Googleは親会社の社名をアルファベットにして、検索サービスを行う部門のみをGoogleとした。その他の事業については、失敗などの可能性もあるので、アルファベットという名前のホールディングカンパニーの下で、それぞれ別のブランドを持つ会社と言う体制に変更している。これは別の部門が、Googleのブランドに影響与えないための配慮だと言われている。
マーク・ザッカーバーグが主張しているメタバースと言う考えそのものは理解できる。確かにインターネットを利用する環境はどんどん変わってきている。最初はPCだけだったが、スマホやタブレットが出て場所に縛られないで利用できるようになってきている。それが次にどこに向かうかと言うと、マーク・ザッカーバーグによれば3次元の世界だと言うことなのだろう。
すでに会社としてのFacebookは、ここで既に「メタ」と言うべきだろうか、バーチャルリアリティーに大きく投資をしている。三次元インターフェースのOculus を買収して、次々と新製品を発表している。また8月にはバーチャル・リアリティーのサービスとしてHorizon Workroomsを発表した。これはヘッドセットが必要だが3次元空間で実際に人と会うように会議などができるサービスだ。また9月には、レイ・バンと組んで録画機能を持ったメガネを発表している。
マーク・ザッカーバーグが目指すメタバースがどのように実現するのかわからないが、ゲームなどでは、3次元空間を体験しながら、その世界を楽しむと言う事は、ある意味既に実現している。映画でも3Dの映画を見ることもある。
しかし、会議や通常のコミニケーションで、そこまで必要だろうか。しかもメガネまでかけて。
10数年前に3Dのテレビが各社から発売になった。一時は各社の3Dテレビの広告も盛んで、多少は売れたと聞く。しかし、今どうだろう。市場にはもう3Dテレビは存在しない。それはソフトが不足していた問題もあるかもしれないが、決定的な要因は眼鏡をかけてまでテレビを見るかと言うことだ。
メタバースの構想は、次のインターネットのインターフェイスがどうなるかを考えると言う意味で新しい挑戦で評価すべきだ。しかしそれが眼鏡をかけた3Dの世界かと言うと少し疑問に思う。まるでかつての「セカンドライフ」の亡霊に出会うかのような気分となる。
新しい名前になった「メタ」が、どのようなメタバースを見せて見せてくれるのか、しばらく見守っていようと思う。少なくとも今回より、Facebookと言えばサービスのことであり、会社の事ではないと言うことが明確になったのが良い点だ。今までFacebookと言うと会社のことを言っているのか、アプリを言っているのか、よくわからなくなることがあった。それが今日から、会社は「メタ」と呼べるようになる。