音声ソーシャルメディアのClubhouseが人気になったのは今年の初めだった。招待制にもかかわらず、いや招待制だったからかもしれないが、2月には月間でダウンロードは、外部の調査会社によれば、960万回に達した。しかしClubhouse自体はダウンロード回数等の詳細な数字については発表していない。
このClubhouseの人気を受けて、他のソーシャルメディア・プラットフォームも音声チャットの機能を追加し始めた。Twitterは音声機能のSpacesを始め、Facebookも音声チャット機能を追加、SpotifyもGreenroomという名前で音声チャットの機能を追加した。この突然の音声チャットの人気を受けて、以前からあるネット上のコミュニティーは、ビデオ通話・音声通話のフリーウェアのDiscordを使って自らのコミュニティーの音声チャットルームを立ち上げるようになったという。Clubhouseの出現により、音声チャットがブームになったのである。
この状況はまさに、Snapchatが24時間で消える動画で人気になった後、Facebookがその機能をそっくり真似て、FacebookでStoriesを始め、さらにInstagramでも同様の機能を追加したことと同じだ。他のソーシャルメディア・プラットフォームも同様に、24時間で消える動画機能を追加し、この機能自体は全く珍しいものではなくなった。このために人気の出ていたSnapchatの影は薄くなった。
音声チャットのClubhouseでも、他のプラットフォームが全く同様の機能を追加したことにより、その成長は大きな影響受けた。2月に960万回だったダウンロードは、3月には270万回まで減り、4月にはついには91万回まで減ってしまった。
一方、音声チャットのSpacesに力を入れたTwitterはユーザ数を増やし、会社は数字を発表していないが100万人以上のユーザがいると推定されている。
Clubhouseも反攻に出て、招待制を止め、iPhone対応のみだったアプリを、Androidまで広げた。さらにインド、ブラジル、日本などの海外展開も開始した。その結果6月には700万回のダウンロードを達成することとなった。
Twitterも負けてはいなかった。Twitterに人気のある人を集めるプログラムの、Twitter Sparkを音声チャットのホストにも適用して、著名人の音声チャットのホストをリクルートを開始したのだった。Twitter Sparkで、音声チャットのホストには、拠点としてSpacesを使う条件で月額でギャラが支払われる。この仕組みで、Spacesの参加者を集めている。
当然対抗してClubhouseも、同様のプログラムを開始して、ホストへのギャラの支払いを開始した。今後は、人気のあるホストをどちらが取るかと言う金銭の戦いとなっていくのだろう。
最終的にはどのプラットフォームが人気のあるコミュニティーや、ホストを取り込めるかの戦いで、Twitter SpacesとClubhouseの戦いが続いていくのではないかと思われる。