スマホの買い替えサイクル

by Shogo

iPhone 14が発表されて、新しいカメラやテクノロジーが話題になっている。そういうものを読んでいくと、今使っているのが、iPhone 11sなので買い換えるべきかと言う気持ちになってくる。職業としてマーケティングを考えてきた身からすると、陳腐化戦略の罠にはまっている事は十分にわかっている。

それで、一般的なスマホの買い替えのサイクルを調べてみると、東証が調査を行っていた。2020年ものだから現時点でも、そうは変わらないだろう。

この調査によると、「3年以上は買い替えない」と「買い換えた事は無い」で半数以上を占める。

1年に2回以上 1.3%

1年に1回程度 3.5%

2年に1回程度 36.9%

3年以上は買い替えない 46.7%

買い替えたことはない 5.5%

スマホは持っていない 6.1%

東証調査

マーケティングに影響されて、ファッションのように買い換える人は、「1年2回以上」が1.3% 、「1年2回程度」が3.5%で合計は5%にも満たない。思ったよりも頻繁に買い替えをする人は少ないようだ。

自分の場合も、この調査の大多数と同じように2年か4年のサイクルで買い替えてきた。しかし、その時点でどうしても買い替えなければいけなかったかというとそうではない。マーケティングの罠にはまっていただけだ。それが証拠に、下取りに出さなかったiPhone 6sは、今でも音楽再生用として使っている。すでにアップルが保証しているソフトウェアの保証期間の5年は過ぎている。

最新OSのiOS 15.5は、まだ2015年発売のiPhone 6sをサポートしている。もうすぐサポート期間は過ぎてしまうだろうが、もうしばらくは問題なく使えるはずだ。家にある古いiPadは10年前近いものもある。これについては、最新OSにアップデートできないために、アプリによってはダウンロードができないケースもある。それでも、必要最小限の機能を果たしているので、もっと新しいiPadが手元にないときは、そちらを使うこともある。これから見てもiPhoneにしてもiPadにしても比較的長く使えることがわかる。

しかし、それでは、Appleにしてもアンドロイドのメーカーにしても儲からない。だからAppleは5年、Androidは2年間の限られた時間しかソフトウェアのアップデートを保証していない。つまり、早く買い換えてくれということだ。

古いiPadの例を見るまでもなく、ハードウェアは、長く使える。自宅用のiMacも2013年だからすでに9年使っている。ほぼ24時間使い続けていて問題がないのだから、耐久性は充分ある。出張用のMacBook Airも2012年からだから、すでに10年だ。こちらも、使っていない時間も長かったが、現時点では問題なく使えている。このようなことを考えても、スマホのハードウェア自体はかなり耐久性があるものと考えられる。

しかし、AppleにしてもSamsungにしても新機種をどんどん発売しなければ、その年の売り上げを確保できない。

実際にiPhone 14にしても特に大きな技術的な、デザイン的な進歩があったとも思えない。マーケティング戦略としてどんどん新しいものを発売するだけだ。

スマホのビジネスは、比較的短期間の買い替えを前提としている。だから、部品は全て糊付けして簡単には取り替えが効かなくなっている。つまり部品を取り替えたり、交換して長く使い続けることを前提としていない。以前iPhoneを修理に出したときに、部品を交換するのかと思ったらiPhone全体が交換されて出てきた。

数年しか使わないものだから部品の交換等を前提とせずできるだけ小さく薄く作るということに集中しているのだ。

どんどん新製品を出すAppleやSamsungに対して、ヨーロッパには長く使い続けるためのスマホがあるそうだ。アムステルダムのベンチャー企業のFairphoneはヨーロッパだけでしか販売されていないが、長期使用できることを売りにしている。価格は580ドル。

Fairphoneは、修理や部品の交換が簡単なように簡単にカバーを外して中の部品が交換できるそうだ。これであれば、問題が生じた際にその部品だけ交換したり、あるいは新しい技術が出てきたときにカメラだけを交換したり、CPUを交換したりとしながら長く使い続けることができる。

Fairphoneはバニラ(純粋な素の)Androidを搭載しておりGoogleの保証する2年ではなく、6年前のFairphoneは今でもAndroidのアップデートを受けることができる。しかしながら、カメラの機能やその動作スピードはかなりiPhoneや最新のAndroid端末に比べると劣っているようだ。それでも使い続けると言う事を選ぶ人にとっては十分に選択肢になるだろう。

日本の携帯電話メーカーは全滅してしまった。AppleやSamsungに対抗するための、このような独自のアイディア、長く使えるスマホなどの「戦う軸」を持つ企業が現れて、独自のスマートフォンを作ってもよかったのではないだろうか。そのような発想が日本の企業になかったことが残念だ

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