景気は不思議なものだ。パンデミックが収束しつつある一方で、世界的に景気は減速し、急なインフレと、日本を除く各国での金利の上昇が様々なビジネスに影響与えている。日本では、円安も重なって、長期的な経済の見通しはますます不透明になってきた。どれが、原因で結果かもわからない経済の素人には予測は不可能だ。
分かるのは、この影響は各方面に渡り、広告も例外でないということだ。先週Snapchatが第3四半期の決算で、1ユーザあたりの収益が11%減少したことを発表している。オンライン広告に景気減速の影響が現れている。
Googleの親会社のAlphabetも第3四半期の決算を発表して、世界一の広告メディア企業も景気の減速の例外でないことを明らかにした。
Alphabetの発表では第3四半期の売上が691億ドル、利益が139億ドル。利益は、前年同期比27%減だ。Googleの決算ではかつてない落ち込みだ。売上はやや伸びでいるものの、アナリストの予想には届いていない。
第3四半期は、アメリカなど各国でインフレが進んでおり、オンライン広告を含む広告全般が減速傾向にある事は多くのアナリストは予測していた。Googleの決算で、この予測が現実であることが証明された。
それでもGoogleの中心ビジネスである検索連動型広告については、売上で4%の成長をしている。検索連動型広告は、販売に1番近いところで効果を発揮するために広告主も検索連動型広告については、大きく予算を削りにくいものだと思われる。
影響受けているのはYouTubeの売上で、1.7%の減少だった。こちらは景気の減速だけではなく、TikTokの成長による影響を受けていることが原因だと思われる。TikTokに対抗してYouTube Shortsを立ち上げて、TikTokのような、スマホ画面に合わせた縦型の短い動画を充実させているが、まだその効果は出ていないようだ。
経済の素人からすると、売り上げが伸びているのに、利益が27%も持ち込むと言う事は、コスト構造に問題があると考えられる。9月にビデオゲームのオンライン配信サービス・ビジネスから撤退している。しかしまだレイオフなどは行われていないと言うことなので、人員体制も問題の一つではないのだろうか。細部をよく知らない乱暴な議論だが、少し前に調べたようにGoogleのような会社で、20万人近くも社員がいるのは信じられない。
Googleに続いて、FacebookとInstagramのMetaも第 3四半期の決算発表した。こちらは、売上高は前年4%減の277億ドルだった。Metaは、売上も減少している。ユーザ一人当たりの平均収入は、アナリスト予想の9.83ドルに対して9.41ドルにとどまった。
Metaの場合には、iOSのプライバシーポリシー変更によるターゲティングやトラッキングの問題で広告事業そのものが大きな課題を抱えている。そこに景気の減速が直撃したと言うことなのだろう。
Metaはさておいて、Googleのような企業でさえ影響受けているので、既存メディアのテレビ局も当然ボトムラインへの影響は大きいはずだ。そんな中で、Netflixは来週から広告事業を開始することになっている。なかなか厳しい船出だ。