Spotifyのオーディオブック市場参入

by Shogo

Spotifyが、30万タイトルで、オーディオブック市場に参入した。その際に、Spotifyはタイトルの販売方法をめぐって、Appleと多少もめたようだ。

Spotify は4年前からAppleとApp Store の規約を巡って係争中だから予想された展開だ。iPhoneのApp Storeでアプリやサービスを買うと30%の手数料をAppleに支払わなければいけない。これを避けるためには、サプリから外部へ顧客を誘導して、そこで支払いをさせようとすると、Appleから規約違反と訴えられる。

それが、昨年のEpic GamesとAppleの裁判だ。Epic Gamesは30%の手数料があまりにも高いと訴えた。Appleは、アプリを安全にするために、様々な対策を取る必要や、アプリやサービスの決済をAppleのシステムを通じて行うことで、iPhoneのユーザを詐欺から守り、安全に保つことができると主張している。

その裁判の際に明らかにされた文書によると、Appleは、App Storeのビジネスから年間240億ドルの売り上げを上げており、コストはほとんどないために、この80%が純利益だと言う。

Spotifyは、オーディオブックをアプリを通じて販売すること計画して、当初はAppleに30%の手数料を支払うこととも受け入れたようだ。GoogleのGoogle Playはその方式で問題なかったが、App Storeではかなりの調整を必要としたようだ。

最終的には、Spotifyのオーディオブックはアプリ内からは買えない。App Storeの規約によってアプリからの販売サイトへのリンクも貼られていないので、ユーザは自分でSpotifyのウェブを探して、そこで、そのタイトルを探して買うしか方法がない。当初Spotifyが望んだように、オーディオブックの販売を30%の手数料を受け取ってアプリ内で購買できるようにすればいいようなものだが、そうはならなかった。これは、AppleもApple Booksのビジネスがあり、そうさせたたくはなかったという推測もされている。当然、Apple Booksのオーディオブックは、アプリ内から買える。

これは、Amazonのアプリでも同様だ。iPhoneのAmazonのアプリから、Kindle booksやAudibleのタイトルは購入できない。サンプルのダウンロードができるものの、決済はできないようになっている。このために、PCから離れたところにいるときには、Amazonのデジタル・コンテンツを買うことができないので不便だ。これもAmazonが30%の手数料を払いたくないので、そうしているのか、Appleがそうさせないようにしているのかよくわからない。

iPhone経済圏を守るために、App Storeのルールは厳しいようだ。しかし、昨年日本とアメリカで行われた訴訟では、アプリ開発者がそれぞれAppleに対して勝利した。この結果、アプリの開発者は、アプリ外で決済することについてコミニケーションする事は認められるようになっている。ただし、これからAppleが、なし崩し的にアップルの決済システム外で購買が行われるようなことを認めるとは思えない。App StoreはiPhone経済圏の中心ビジネスであり、これを全力で死守するだろう。

全世界に数十億台使われてiPhoneやiPadは、デジタルコンテンツ販売の最大のチャネルだから、守ろうとするAppleとこれを利用しようとするコンテンツ・オーナーの争いはずっと続く。

オーディオブックの全世界の市場は2021年には42億ドル程度あり、今後年平均26.4%で成長すると予測されているようだ。だから、Spotifyも参入をした。しかし、この市場は、老舗のAudibleを2008年にAmazonが買収して市場トップとなっている。ここにApple Booksも含めて各社が参入している。そこで今後Spotifyが、どれほど売り上げを伸ばせるかどうかだ。やはりSpotifyの30万タイトルはまだまだ数が少ないし、それよりも聴き放題などのサービスも点が勝負となるであろう。

日本ではオトバンクが、audiobooks.jpとして2018年からサービスを開始し、2015年に日本参入したAmazonのAudibleと市場を争っている。もちろん、Apple BooksもiPhoneやiPadを生かして販売している。かなり、厳しい競争だ。

日本の市場も徐々に成長しているようだ。車社会では、オーディオブックはもう少し今後も普及するであると考えられる。しかし、同じく車社会の日本の地方では、まだまだ、本を聞くと言う文化が育っていない。広く受け入れられるまで時間がかかるだろう。しかし、2021年で140億円の市場が、2024年には260億円に成長することを日本能率協会総合研究所が予測している。成長の余地はあるので、ここで何社が生き残るのか。

日本では日本語の参入障壁があるので、Spotifyもすぐにシェアを取るのは難しいであろう。先行しているAudibleに対して、日本企業のオトバンクが戦いを挑み、Apple Booksがどこまで戦えるかと言う状況が当面続くのと思われる。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!