相変わらずChatGPTの話題が続いている。日本のメディアでも取り上げられるようになってきた。
それにしても、チャットボットと言うと、企業のサイトなどで使われている単純な質問に答えてくれるサービスを思い出させるので、あれはAIとは呼べないから、OpenAIのChatGPTをチャットボットと言うにはちょっと違和感を感じる。ママチャリとFIマシンを同じ移動手段というようなものだ。
ChatGPTのGPTは、Generative Pre-trained Transformerの略だから、生成型事前学習システムとでも訳せば良いのだろうか。今後、ChatGPTが普及するにつれ、日本語が必要となると思われるが、今のままだとGDPとかDTPとか、似た単語がたくさんあって訳が分からなくなる。早く一般に通用する日本語を作ったほうがいいかもしれない。1番簡単なのは、生成型人工知能だろうか。あるいは生成型AIだ。
ともかく、これだけ話題になっているので、シンギュラリティはいつ来るかは別にして、後から振り返ると、AIを一般の人を使い始めた年として、2022年が記憶されるのかもしれない。
今はChatGPTやDALL-E 2で話題になったOpen AIだが、この生成型事前学習人工知能は、(やはり長いので単純に生成型AIと言う)Open AIの専売特許ではない。多くの研究機関が、事前学習型のAIを研究している。そもそもChatGPTのエンジンであるGPT-3は、もともとGoogleが開発した自然言語処理の深層学習モデル、Transformerがベースになっている。
その後、Googleも同様の生成型AIの研究を続けており、現在はLaMDAが稼働している。LaMDA は、Language Model for Dialogue Applicationsの略だ。このシステムについては、Googleのエンジニアの1人が、LaMDAは既に人間と同じ感覚を持っていると主張してネガティブの意味で話題になった。多分それほど、進んだ技術なのだと思われる。しかし、Googleは、このシステムを、Open AIのように一般には公開していない。
それにはいくつかの理由が考えられる。理由の一つは、生成型AIでは、そこに広告をどのように組み込むのかよくわかっていないからだだと思われる。
過去20年以上にわたって、インターネットの入り口を支配しているGoogleの検索エンジンは、検索結果として最適なサイトのリストを表示する。この時に同時に、広告を表示して収益を上げている。生成型AIの場合には、最適な回答するだけだから、ここに広告をどのように入れるのか現時点ではまだアイディアがないのだろう。
歴史は繰り返すと言うが、Googleも検索エンジンは完成したが、収益化の道はなかった。このために、2億円程度で、ポータルサービス企業の一つに買収を持ちかけたが、断られたと言う経緯もあったようだ、その後、検索連動型広告を表示する技術を持つ会社を買収して、やっと収益化にこぎつけた。収益化したどころか、年に100兆円単位の売上の会社となっている。
これがChatGPTの登場でインターネットサイトの入り口を抑えられる事は、Googleにとって致命的な問題となる。だが、一方で自社もそれを導入すると自社の広告ビジネスを大きく傷つけることになる。そのジレンマに悩んでいるのであろう。とは言いつつも、時代の流れとして、生成型AIによって様々なもののインターフェイスが置き換えられていく事は確実だから、Googleも早急に対策を取らなければいけない。
それに、MicrosoftはOpen AIに投資をしていて、自社の製品サービスにOpen AIの生成型AIの技術を組み込んでいくことになっている。MicrosoftのBingは検索サービスとしては10%程度のマイナーな存在だが、ChatGPTの技術を取り入れて、生成型の回答するようになれば、大きく成長する可能性がある。Microsoftは広告で稼いでいる会社でないために、そこで、広告収益を上げなくても、インターネットの入り口である検索サービスをGoogleから奪うだけで、充分に目的を達成することになる。このように考えると、この数ヶ月の間にGoogleがどのような対策を取るのか注目すべきだろう。どのような収益モデルを考えるのだろうか。