YouTube Premiumの画質向上

by Shogo

YouTubeが再生画質の向上の実験を始めたそうだ。YouTube Premiumに加入していると、基本的な1080の画質に加えて、1080プレミアムと言うオプションが表示される。これには拡張ビットレート1(Enhanced Bitrate)と言う説明があるようだ。Engadgetの記事によると、これは現時点ではテスト段階で、すべてのYouTube Premium加入者が利用できるということでもないようだ。

YouTube Premiumの加入者数は2022年のデータでは全世界で8,000万人。YouTubeの2022年の月間アクティブユーザ数は27億人だから、3%弱に過ぎない。YouTube Premiumは日本では個人プランだと月額1180円だ。だが、iOSアプリ版で加入すると、出力料金は1550円になる。これは有名なApple税のためだと思われる。

YouTube Premiumのメリットとしては、オフラインでの再生、広告なし再生、バックグラウンド再生、YouTubeミュージックプレミアムの利用とYouTubeオリジナルのコンテンツの視聴ができることだ。

YouTubeオリジナルのコンテンツは、人気のユーチューバーのオリジナルコンテンツや多少のオリジナルドラマなどがラインナップされているが、他のサブスクのラインナップと比べると見劣りがする。しかも、音楽は、AppleミュージックやSpotifyなどの契約をしている人が多いために、それも魅力的ではない。この辺にYouTube Premiumの加入率の低さの理由がありそうだ。

一般のYouTubeのユーザが求めているのは、画質の向上ではないだろう。画質だけで言えば4Kにすることもできるが、それではモバイルの際のパケット数が比べ物にならないほど増加してしまう。だから、ある程度の画質で、ほとんどのユーザは満足するはずだ。

それでもYouTube Premiumの画質の向上を行うのは、今後のビジネスとしてNetflixなどの映像配信サブスクに対抗するビジネスを考えているのかもしれない。AppleはMLB や MLSの独占配信契約やオリジナル・コンテンツに投資をしてApple TV+に力を入れ始めている。Googleが今後映像配信サービスに力を入れるとすれば、当然、そのプラットフォームは、YouTube Premiumなる。そのための布石として、画質の向上を始めると考えると自然だ。

GoogleのYouTubeの2022年の広告売り上げは約292億ドル。日本円で4兆円を超える金額だ。日本の広告費が全体で7兆円少しだから、その巨大さがよくわかる。この広告ビジネスは維持しなければいけないが、同時にYouTube PremiumをNetflixやApple TV+やDisney+、Maxに対抗するサービスにすることは可能だろう。Netflixと同程度の2億人の加入者になったところで、全体のユーザーの数の10%以下だ。広告ビジネスに大きな影響は出ない。

YouTubeは2005年に設立されて、その翌年にGoogleは16億5000万ドルで買収した。当時のYouTubeは、ユーザ数が急速に成長していたが、そのコンテンツは、ほとんど著作権違反のものばかりだった。Googleが、なぜこれを買収したのか私には意味がよく分からなかった。違法コンテンツのサービスを買収してもビジネスになると思えなかったからだ。しかし、Googleは時間をかけて手作業やAIを使い、違法コンテンツや望ましくない動画の削除に努めた結果、今や20世紀のテレビに匹敵する動画プラットフォームに育った。Googleには、最初から検索では得られないユーザーの広がりがみえていたということなのだろう。

その後、TikTokが登場して、短い動画が人気を集めると、YouTubeも2022年にYouTubeショートを開始して対抗した。YouTubeショートは、TikTokと同じの縦型の動画投稿サービスで急速に普及して2023年には、YouTubeショートの1日の再生回数は50億回に達している。

動画共有サイトとしては、もはや敵がいないので、今後の開拓の余地は、動画サブスクのビジネスだけだ。そのための、画質向上の実験が始まったということなのかもしれない。スポーツを始め、コンテンツの配信権は高騰しているが、ここにGoogleが参戦するとさらに高騰することになるのだろう。

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