Kindle出版の新たなルール

by Shogo

The Guardianや他のメディアが報じところによれば、Kindleダイレクトパブリッシングで1日に出版できるタイトルの数を3作品までに制限する、新たなルールが設けられたそうだ。Kindleダイレクトパブリッシングで写真集の出版しているので、サイトに行ってルールを確認したところ、日本語ではこの1日3作品と言うルールは見つけられなかった。

報道によれば、Amazonは1日3作品のルールを設けたが、このルールは必要に応じて変更される可能性があることとされているようだ。それから今までも同一の著者が1日に出品できる作品の数は決まっていたが、その数が何であったかについては、Amazonは明らかにしていないようだ。

この今回の1日に出版可能な数のルールの変更には、AIツールが関係する事件があったとされている。アメリカのハーバー・コリンズの元CEOで多くの電子書籍の著者であるジェーン・フリードマンが書いたとされる著作物が、実は、ジェーン・フリードマンが書いたものでなく、AI生成の疑いがあると言う理由で、Kindleの販売から削除された。AI生成ツールによる著作物が増えてきたことから、このようなルールができたようだ。

さらに、Amazonは、コンテンツがAIによって生成されている場合に、その事実をAmazonに通知しなければいけないと言う要件を新たに付け加えたそうだ。しかし、この自己申告のルールは、あくまでも著書の申告であって、Amazonはこれを確認する方法は現時点では持っていない。つまり著者が、AIツールでコンテンツを生成し、Kindle本として販売しようとした場合に、Amazonにはそれをチェックする方法はない。これもふくめて、Amazonは、言語生成ツールによる著作物の氾濫を危惧しているということだ。

また、最近の話題としては、ハリウッド脚本家組合と制作会社の契約において、AIツールについての新たな条項が加わったそうだ。それについての報道によると、ハリウッドの制作会社は、脚本家組合のメンバーが書いた脚本を、生成AIツールのトレーニングとして使用する権利を有すると言うことだ。この条項が意味するのは、制作スタジオと脚本家組合においては、脚本をトレーニングに使用する際には、原著作者の同意が必要になると言うことだ。

最近、ジョン・グリシャムよやマイケル・コナリーなどのベストセラー作家が、彼らの作品が言語生成ツールのトレーニングで使われていることに対して、著作権侵害にあたるとして訴訟起こしたばかりだ。これに対して、OpenAIなどの生成ツール事業者は、アメリカの著作権法に許された、フェアユースにあたるとして争う裁判の行方に何らかの影響与えそうだ。

フェアユースは、日本にはない法の概念で、著作権者の権利を侵害せずに保護されている著作物を利用する方法について規定しているアメリカの著作権法のルールの1つである。著作物の一部の利用であるとか、オリジナルの価値を毀損しないなどの条件があるが、著作物を利用できる権利として確立されている。

生成ツールの事業者は、トレーニングは、このフェアユースにあたるとして、ベストセラー作家の訴訟に対して対応するものと思われるが、これと今回の脚本家組合の合意がどのような関連を持つのか注目される。

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