Xは完全課金制に移行するのか?

by Shogo

イーロン・マスクは、X(旧Twitter)買収して、様々な改革を試みている。最新の話は、Xの有料化の検討だ。毎月、小額の月額料金を徴収することにより、彼が最近問題にしているボットを排除しようと考えているという。現時点では、本当に有料課金制に移行するかどうかは、まだ不明だ。個人的にはビジネスモデルとしては難しいと考えている。

今までにイーロン・マスクがXにもたらした様々な変化は、Xのユーザに完全に受け入れてきているわけではない。特にドナルド・トランプ元大統領含む有害な内容を投稿するとして利用禁止していたアカウントを復活させたことだ。この結果、Xには問題の多い、有害なコンテンツが増えていると考えているユーザーが多い。これは、一般のユーザだけではなく、広告主にとっては大きな問題で、イーロン・マスクの買収以来、広告収入は59%減少したそうだ。自社の広告が有害なコンテンツのそばに表示されることを恐れているのだ。

しかしそれでも短文によるツイートと言う投稿形式を作ったXへの愛着があるのか、ユーザー数は減少していない。Xのユーザの不満を見越して、Twitter創業者のジャック・ドーシーのBlueSkyやMeta社のThreadsなどが登場している。しかし、大きな数で移行したと言う話を聞かない。現時点でも、Xの月間アクティブユーザ数は5億5000万人で、毎日1億から2億の投稿がある。不満がありつつも、多くのXユーザが、なぜXに留まっているのか、その理由は不明だ。

先週、リンダ・ヤッカリーノCEOは、広告収入の減少にもかかわらず、現時点で損益分岐点に近く、来年には黒字化すると発表している。これは、買収時点に7500人いた従業員を1800人まで減らしたことが大きいのだろう。このために広告収入の大幅な減少にもかかわらず、ボトムラインは改善してきているようだ。

この時に、ヤッカリーノCEOが公表したのは、コンテンツの投稿者に広告費シェアとして2,000万ドルを分配したことだ。これは、Xの新しい取り組みで、優良な投稿を増やし、閲覧数を増やすために、コンテンツの投稿者に広告費の分配を開始した。9月末の時点の発表によれば、対象の期間は不明だが、2,000万ドルの支払いを投稿者に行った。

これは、他のプラットフォームも行っている、優良なコンテンツを増やして、閲覧数を向上させ、広告費を増大させるための手法だ。YouTubeやTikTokも行っている。ただし、YouTubeと比べるとはるかに金額が少ない。それはXの広告収入も関係するが、YouTubeの場合は年間100億ドル程度の支払いを行っている。

このコンテンツ投稿者への広告費の分配は、有料課金アカウントのみに行われるために、有料アカウント数の増加も目的の1つにあるのであろう。さらに、有料課金アカウントへの誘導としては、分配金を受け取るようなコンテンツ投稿者は有料課金のアカウントからしかDMを受け取れない、新しい機能を発表している。これも有料課金のメリットを増やして、有料課金の増加を目指した施策の1つである。

Xは有料課金モデルへの誘導を様々な形で行ってきているように見える。だが、本当に全て有料課金に踏み切るかどうかは現時点でははっきりしないが、完全に有料課金モデルだけにすると、現在の月間アクティブユーザ数の5億人は維持できないのは確実だ。多分、別のプラットホームに移行する可能性も高い。結果的には、ユーザからの課金収入が増加するが、広告費は大きく減少する。

広告モデルかサブスクモデルなのか、Xの目指している道は、現時点では不確かだ。イーロン・マスクの考えているスーパーアプリへの過程なのかもしれないが、よく言えば、さまざまな試行錯誤で、客観的に見れば混乱していると言えるだろう。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!