Netflixが初のスポーツのライブイベント配信の告知を開始した。しかし、AmazonやAppleと違い巨額の放送権料を支払わなければいけないプロスポーツのライブ配信ではない。
Netflixは以前プロスポーツなどの配信に参入を試みたが、高額の入札で敗れたために方針を転換している。今回の発表されたライブイベントは、自前のゴルフイベントを主催して、それのライブ配信を行う。The Netflix Cupというタイトルのイベントは、NetflixのFIドキュメンタリーシリーズ、「F1:Drive To Survive」のF1パイロットとゴルフのドキュメンタリー「Full Swing」のゴルファーが参加して行われるゴルフイベントだ。The Netflix Cupは11月14日にラスベガスで行われる。
巨額の放送権料を必要としない自前のゴルフマッチプレーで、有名アスリートを使ってF1やゴルフのファンを引っ張ろうという考え方だ。これは今までも他のネットワークでも行われている手法で、様々な有名人やスポーツ選手が登場するゴルフイベントはある程度は注目される。高額の放送権料を支払うことなく、有名選手が登場することで、面白いコンテンツになる。
このThe Netflix Cupの配信では、広告は入らずに、別途提供スポンサーがつくことになっているようだ。そのスポンサーには、Nespresso とT-Mobileが決まっていると言う。
ドラマや映画を配信しているNetflixはライブ配信の経験がなかったので、今回のライブ配信に向けたテストとして、今年の4月に恋愛リアリティーショー「Love is Blind」のリユニオンのライブ配信を計画したが、直前になってライブ配信はキャンセルされ、収録された番組が配信された。Netflixにとって、ライブ配信は初めてで難しかったのだろう。しかし、その番組以外のクリス・ロックのコメディ番組は無事にライブ配信が行われている。しかし今回のゴルフのマッチプレイは、より長い時間配信が行われるために、Netflixの実力が試されることになる。
このThe Netflixカップが全世界日本を含んだ全世界に配信されるかどうかは、いくつかの記事を見たらが何も言及されていなかったので、もしかすると、アメリカ国内のみの配信になるかもしれない。
スポーツのコンテンツは人気が高く、放送事業者が目玉コンテンツとして高額の放送権料を支払って独占して配信放送してきた。Amazon Prime VideoがNFLと「Thursday Night Football」と巨額の放送権料で契約したことが代表例だ。
Netflixは、その道には進まないと公言して、スポーツに関するドキュメンタリー番組を開始している。F1については「F1: Drive to Survive」、ゴルフの「Full Swing」、大学アメフト有名選手の「Untold」、NFLの「Quarterback」などのシリーズを開始した。今後計画されている新シリーズでは、陸上競技、サッカー、ラグビー、NASCAR のアスリートも続くようだ。
今回行うライブ配信が、他の配信事業者と争って、プロリーグなどの配信を始めるための第一歩なのかどうかわからない。もしかすると、既存のドキュメンタリー番組シリーズのプロモーションのためのイベントと言う可能性もある。
一般的な考え方であれば、すでに全世界で2億3000万人の契約者を持つNetflixが今後さらに成長のするためには、メジャーなスポーツに取り組むと言うことになる。しかしながら、プロリーグのライブスポーツ配信は高額になっている。それは、AmazonやGoogle、Appleといった巨大IT企業が単年度収支ではなくより長期的視点にたって赤字の投資を続けているからだ。Netflixは、その路線には行かず堅実な経営を続けてゆくということなのか。次の一手で、どのような判断をするのだろう。