AdAgeが世界のトップ100の広告主の2022年の広告支出集計を発表した。トップ100の広告支出は、過去最高の3,470億ドルに達した。
地域別では、アメリカ本社の広告主の広告支出は8.7%増加だが、ヨーロッパ本社の広告主は1.5%の増加、アジア本社の広告主の支出は11%の減少と、アメリカ系広告主の広告が多く増加した。
しかしながら、これにはからくりがあって、2022年のドル高が影響しているようだ。2022年全体では、ユーロはドルに対して10.9%下落。円では15.9%の下落、韓国ウォンが11.1%の下落。だから、集計がドルベースで行われているために、アメリカ以外の地域では広告費が増加していないように換算されている。記事の中でキリンの例が挙げられているが、キリンは広告販促費を2022年に1.8倍とかなり増額したが、これがドルベースでは14%の減少と統計上は記録されている。このようなことがあるので上記の米国本社の広告主の広告機能伸びが大きいと言う部分は、ドルベースの集計のドル高が影響していると考えられる。
広告主の業種別では、旅行関連のBooking.com、 Expedia、Uberなどの旅行カテゴリーは41%増加して、最大の増加率となってなった。特にBooking.comの広告質は58%増加し広告主トップ100の中で1番の伸び率を記録した。これはパンデミックが終了した後、旅行意欲が復活してきていることの表れであろう。一方、自動車、アルコール、パーソナルケア、食品飲料については減少している。
広告主別のランキングでは、Amazonがトップ、2位がロレアル、3位がアリババ、4位がP&G、5位がサムスン、6位がLVMH、7位がアルファベット(Google)、 8位がコムキャスト、9位がユニリバー、10位がPDDホールディングとなっている。
トップのAmazonの広告費は前年から22%増加し206億ドルとなり2年連続で世界最大の広告主になっている。広告費が円換算で30兆円近い。これは想像もできない数字だ。日本の広告費が7兆円少しと言うことを考えると、日本の広告費全体の4倍程度の規模と言うことになる。Amazonのビジネスを考えると不思議では無いのかもしれないが、あまりの巨大さに目のくらみそうだ。
10位に入っているアイルランドのPDDホールディングは聞いたこともない会社だったので調べてみると、以前はPinduoduo Inc.と言う会社で中国のECプラットフォーム企業だった。最近、PDDホールディングと名前を変え本社もアイルランドに移したようだ。しかし、ビジネスはほぼ中国のみで行っているようだ。
聞いたこともない。広告主が、世界のベスト10の広告主と言うのは不思議な気がする。それだけ中国におけるECのビジネスの規模が大きく広告費も巨大だと言うことがわかる。日本は数年前までは世界第二の広告市場と言われたが現時点では中国の方が日本を上回っているのかもしれない。
この時のランキングでは、トヨタが19位に入っているが、ソニー、資生堂、楽天、日産、キリン、ホンダはベスト100に入っているが、ランキングは下位である。
広告は当然のことながら、その企業の売り上げや収益によって支出金額が変わってくる。上位の広告主に日本企業が入ってこないということは、それだけ日本の企業のビジネスが停滞していると言うことなのだろう。