アメリカの巨大企業各社は第3四半期の決算を発表した。共通しているのは、デジタル広告が回復して、増収増益になったことだ。特にMetaはiPhoneのプライバシーポリシー変更のために大きな打撃を受け2年ほど低迷していたが、売上高が23 %増、利益は2倍以上となっている。広告に依存している他社も同様で、Googleの親会社のAlphabetは売上前年同期比11 %増、利益も42 %増と言う結果だった。
このGoogleの決算結果を見る限り、ChatGPTから始まるAIツールの普及は、Googleの検索ビジネスに大きな影響与えていないようだ。
とは言え、AIツールは、今後IT業界は当然のことながら、様々な産業の分野で使われることが予想される。この流れの中で、取り残されていたように見えるAppleは来年発表のiOS 18で Apple GTPを搭載する予定だと報道された。現在はApple社内でテストされていると言う。いよいよ、AppleがAI戦争に参戦だ。
Googleは、先行したChatGPTに対応してBardを発表した。Bardは、何回かのアップデートを経て、主要なAIツールとしてChatGPTやMicrosoft Bingと並んで代表的なAIツールとして認識されている。さらにAdobeと組んで画像生成ができるようになることが発表された。だが、現時点ではまだ実装されていない。
言語生成やツールで画像生成までできるようになるマルチモーダルについては、ChatGPTが有料版でDall-E3を使えることになったことで、先を越されててしまっている。
GoogleのAIの取り組みについては、自社開発のBard以外にもAIツール開発企業のAnthropicに20億ドルを投資することが報道されている。Anthropicは元OpenAIの社員が起業した会社でClaud2をと言うAIツールを公開している。Claud2は7月に日本語にも対応し、日本語で無料で使えるツールとなった。登録だけしてまだ使っていないが、Claud2の売りは、ChatGPTが英文で3000文字の処理しかできないが、Claud2は最大7万5000文字まで要約することができるということだ。これはまだテストしていないのでわからないが、長文の論文等の要約してテストしてみたい。
しかし、それにしてもGoogleは資金が豊富だから、というのが理由かもしれないが、自社のBardがありながら、Claud2にも唾をつけておこうということなのだろうか。今後さらにAIツールが伸びる可能性があるので、可能性のある所には全て関係を作ってリスクを分散すると言うことなのかもしれない。
話をAppleGTPに戻すと、iPhoneの今のSiriがAIツールとなって、様々な疑問に音声または文字による入力に対応して返事を返すとすれば、Googleも大きな影響を受けることになる。GoogleはiPhoneのデフォルトの検索エンジンをGoogleにするために年間180億ドル払っていると言われている。しかし、ブラウザのSafariを経由せずにAIツールを使って様々な情報を取得するようになると、Safariの検索の利用は著しく低下することになる。これは最終的には、モバイルの検索の大きなシェアを持つiPhoneのからの検索収入を失うことになり、Googleは影響受ける。この時点でも年間180億ドルを支払うかどうかは疑問だろう。
Apple GTPが現時点ではどのようなものかよくわからないが、Appleがチャット型のAIツールを開発とすれば、何か新しい機能や仕組みが入ってくるものと期待されるので、来年のiOS 18の発表が楽しみだ。