生成AI広告規制

by Shogo

アメリカのメディア・広告業界は4年に1度オリンピックと大統領選挙が、同じ年にあり、活況に湧く。Metaは、大統領選挙に伴う政治・選挙広告の急増に先立って、AI生成広告に新たな規制を化することを発表した。来年から政治や社会問題選挙に関する情報を広告を含んだ広告を出稿する場合には、その広告のがデジタル的に生成あるいは編集されたものかどうか開示する必要があることになる。

政治あるいは社会問題に関する広告が、AIによって生成または編集されたといる場合には、その事実を開示するように広告主に義務付ける。広告主はAIを使用して現実に存在する人が実際に行っていないことを行ったり、発言していないことを発言しているような映像・画像・音声を生成し、広告に利用する場合には、AIにより作成された事実を開示しなければならない。また、現実には存在しない人物や出来事が存在するように見えるように作られた画像・映像・音声についても、生成AIツールが使われている場合には、それにその事実を説明しなければいけない。

単純にトリミングをしたり、色補正したような編集に関しては、この規則は適用されないと言う。これは当然だ。

今回のMetaのAI生成広告についての規制は、ワシントンでAI生成フェイクニュースや投稿についての規制が議論され、MetaやXに規制を求める声が政治家から上がっていることを受けてのことだ。またトム・ハンクスやYouTuberのミスター・ビーストは、自らの肖像が違法な広告として生成・合成され、広告に使われていることを非難している。ただし、これは生成AIの問題というよりも、まず肖像権の侵害で訴えるべき事案だろう。

日本でも日本テレビの放送を偽装した岸田首相のフェイク映像が投稿されて問題になった。このような事は今後も頻発する可能性が高い。生成AIツールはリアルタイムで画像や映像も生成することができ、ソーシャルメディアはそれを瞬く間に拡散することができる。本物そっくりなフェイク・コンテンツとソーシャルメディアの組み合わせは、大きな社会問題を生みだす。

Metaの規制は、広告主に対して開示義務を義務付けるものだ。しかしながら問題はこのような規則を守る広告主ではなくて、守らない広告主の方だ。とは言いつつも自動車が死亡事故起こして危険だから、自動車を規制しろということにならないのと同じように、AI生成ツールを規制するのは間違っている。対処すべき問題は、開示義務を課すと同時にこれを破った場合のペナルティーを、社会全体で与えることであろう。そうでなければ、選挙結果に影響を与え、社会不安にもつながる。

フェイク・コンテンツに対して、Microsoftは対応するようだ。Microsoftは、脅威分析センター(MTAC)と言う組織を持ち、この組織がフェイク・コンテンツについて分析・評価するサービスを開始する。2024年にはアメリカ大統領選挙だけでなく。世界各地で選挙が予定されているために政治的な意図を持ったフェイク・コンテンツから選挙を守るためのサービスを開始すると発表している。このMicrosoftのMTACの能力は、どの程度わからないが、このようなサービが広まることが望ましい。ただし、その実効性は現時点では不明だ。いちばん簡単な解決は、すべてのAI生成ツールに、電子透かしを入れることを、世界各国で法制化することだろう。

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