広告付き映像配信サービス

by Shogo

Varietyによると、Netflixの担当者が広告付きプランのグローバル月間アクティブユーザーベースは世界中で2300万人を超えていると述べたということだ。これは、Netflixが11月初旬に見込んだ1500万人のアクティブユーザー数から50%以上増加している。これは契約者全体の約10%に相当する。想像したより、広告付きプランは成功しているようだ。

定額配信サービスの広告モデルの導入が進んでいる。Amazon Prime Video は、今月後半から世界各国で広告が導入され、広告無しにするためには追加料金が必要となる。

広告付きプランがあるサービスは以下の通り。

  • Netflix Basic広告付プラン 米国を含むいくつかの市場で利用可能で、加入者はより安い価格でサービスのほぼすべてのコンテンツにアクセスすることができる。アメリカでは月額6.99ドルで、1時間あたり4~5分の広告が表示される。
  • Hulu(広告付きプラン)Huluは広告なしのプレミアム・サブスクリプションを提供しているが、基本サービスには広告が含まれている。月額7.99ドル。大学生はHulu Adsプランでさらに割引を受けることができ、月額1.99ドル。
  • Disney+ ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル・ジオグラフィックの映画やテレビ番組など、幅広いコンテンツを提供している。広告付きプランは月額7.99ドルで、コンテンツの前と途中に広告が入る。
  • Discovery+ Discovery Channel、HGTV、Food Networkなどの番組を含む幅広いコンテンツを提供。広告付きプランは月額4.99ドルで、コンテンツの前と途中に広告が入る。
  • Paramount+: CBS、BET、Comedy Central、MTVなどの番組を含む幅広いコンテンツが楽しめる。広告付きプランは月額4.99ドルで、コンテンツの前と途中に広告が入る。
  • HBO Max HBO、DC、Cartoon Networkなどの番組を含む幅広いコンテンツを楽しめる。広告付きプランは月額9.99ドルで、コンテンツの前と途中に広告が入る。
  • YouTube 主にユーザー生成コンテンツのYouTubeは、広告モデルだ。プレミアム加入で広告を省くことができる。投稿コンテンツ中心だが多くの商業コンテンツもある。
  • Peacock  NBCユニバーサルのストリーミング・サービスで、広告付きの無料プランがある。
  • Crackle  さまざまな映画、テレビ番組、オリジナルコンテンツを提供する無料サービスで、すべて広告でサポートされている。
  • Pluto TV 無料のライブ&オンデマンド・コンテンツを提供。
  • Tubi 映画やテレビ番組の大規模なライブラリを提供するもうひとつの無料サービス。
  • Roku Channel Rokuデバイスで利用できるこのサービスは、映画やテレビ番組への無料アクセス(広告付き)を提供する。
  • IMDb TV 様々な映画やテレビ番組を提供する、広告付きの無料ストリーミングサービス。

米国では広告サービスが数多くあり、高い月額料金を避けたいユーザーに利用されている。高い配信サービスの利用料の負担に耐えられなくなってきているのだろうか。

この定額配信サービスの広告付きプランの導入や広告サポートモデルの配信サービスの隆盛を見ると、メディアの未来は、サブスクリプションと広告モデルの両方が存在するハイブリッドモデルになるとも考えられる。

サブスクリプションモデルは、メディア企業が安定した収益基盤を確保し、質の高いコンテンツを継続的に提供するために有効な手段であることは確実だ。また、ユーザーにとっては、広告を気にせずにコンテンツを楽しむことができるというメリットがある。このモデルが、将来的に今よりも多くのシェアを取ると個人的は考えていた。広告を進んで見たい人はいないからだ。

一方、広告モデルは、ユーザーの経済的な負担が少なく、コンテンツの幅が広いというメリットがある。また、広告主にとっては、伝統的なメディアよりも、ターゲットユーザーに効果的にリーチできるというメリットがあるため、配信サービスの広告は歓迎だろう。これが、歴史的にメディアのビジネスモデルだ。

巣篭もり需要で、サブスクリプションモデルのメディアが拡大してきたことは事実だ。これは、インターネットの普及により、ユーザーがコンテンツへのアクセスが容易になったこと、また、ソーシャルメディアや動画配信サービスなどの競合の増加により、広告収益だけではビジネスの継続が困難になったことが背景にある。

しかし、サブスクリプションモデルは、すべてのユーザーに受け入れられるわけではないようだ。また、サブスクリプションモデルを採用したメディア企業は、ユーザーの維持・獲得のために、質の高いコンテンツを、つまり多額の投資を必要とするコンテンツを継続的に提供していく必要がある。これは、これで体力的にメディア企業にとって負担が大きい。

一方、広告モデルは、メディアにとって依然として重要な収益源であり、今後も一定のシェアを維持していくのだろう。これは、NetflixやAmazon Prime Videoが広告付きプランの導入を進めており、収益にも貢献していることから明らかだ。

また、広告主は、ターゲティング技術の進歩により、より効果的な広告配信が可能になってきており、配信サービスの広告モデルの価値は高い。このために、伝統的なマスメディアから広告費が、今後も配信サービスにシフトし続けることが見込まれる。

メディア企業のビジネスモデルを考えると、サブスクリプションモデルと広告モデルは、一長一短だ。それぞれにメリットとデメリットがある。メディア企業は、自社のコンテンツやユーザーの特性に合わせて、適切なビジネスモデルを選択していくだろう。

具体的には、以下の3つのパターンが考えられる。

  • サブスクリプションモデルを主軸に、広告モデルを補完する
  • 広告モデルを主軸に、サブスクリプションモデルをオプションとして提供する
  • サブスクリプションモデルと広告モデルを組み合わせたハイブリッドモデルを採用する

DAZNは2月から、基本プランの月額料金を、3700円から4200円に値上げすると発表した。年間プランは3万円から3万2000円に値上げになる。いつまで値上げに、今のコンテンツで耐えられるのかは分からない。ユーザーがコンテンツへの価値を評価し、DAZNが質の高いコンテンツを継続的に提供していくことができれば、サブスクリプションモデルの継続もあり得るが、これほど月額料金が高くなると、広告付きプランの導入も考えられる。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください