MLBがD2Cストリーミングを計画

by Shogo

MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、2025年までにリーグに消費者向け(D2C)ストリーミングサービスを導入する計画と発言している。この背景について考えてみる。

まず、デジタル化とストリーミングへのシフトが進んでいることが理由として挙げられる。多くの人が、デジタル・コンテンツ消費に慣れ親しんでおり、特にスポーツの視聴習慣は、従来のテレビ放送からストリーミングへと大きく移行している。このトレンドに合わせて、MLBのようなスポーツ組織も、D2Cで自らのコンテンツをストリーミングプラットフォームを通じて提供する必要がでてきたのだろう。D2Cにより、より多様なファン層にリーチし、ファンとの直接的な関係を構築することが可能になる。これが、単純にAmazon Prime VideoやApple TV+に配信権を販売するよりも重要と判断する理由の一つとなる。

また、マンフレッド・コミッショナーは、現行の放送契約の視聴制限(地域ブラックアウト問題)の解決を理由として挙げている。現行のTV放送では、地元チームを優先するために、その地域での他チームの視聴制限が設けられ、ファンが自分の好みチームのゲームを視聴できない「ブラックアウト」問題が生じている。D2Cサービスを通じて、MLBはこの問題を解消し、ファンがどこにいても、いつでも自分の好きなチームの試合を視聴できるようにしようとしているようだ。これは、ファンの満足度を高め、より広範なファンベースの構築に寄与する。

それから、もちろん追加収入源の創出も理由として挙げられる。D2Cサービスにより、MLBは、新たな収益を得ることができる。今までの伝統的なテレビ放送収入に依存しなくなることで、MLBはより多様な収益化戦略を展開する。D2Cサービスを通じて、サブスクリプション料金、広告収入、追加コンテンツの販売など、さまざまな方法で収益を増やすことが可能となる。

すでに、他のスポーツ組織はD2Cサービスを開始している。

NBAのユタ・ジャズは、「Jazz+」というD2Cサービスを開始している。このサービスでは、ゲームのライブストリームや独占コンテンツへのアクセスが提供され、ファンに独自の視聴体験を提供している。

MLBチームでも、シカゴ・カブスは、マーキー・スポーツ・ネットワークを通じて直接サブスクリプションサービを開始した。シカゴ・カブスは、ファンと直接の関係を持つことを意図しており、、試合のライブ視聴やチームに関するオリジナルコンテンツへを提供している。

マンチェスター・シティも、サッカーファンに向けた独自のD2Cサービス「Man City for TV」を提供している。このサービスでは、試合のダイジェストや選手インタビュー、練習風景など、チーム関連のさまざまなコンテンツが配信されている。これらのコンテンツの提供で、ファンエンゲージメントを強化している。

これらの事例からわかるように、スポーツ組織がD2Cサービスを導入することで、ファンとの直接的な関係を強化し、新たな収益源を開拓することが可能となる。伝統的な放送からデジタル化とストリーミングへのシフトが進み、スポーツコンテンツの消費方法も変わりつつある。MLBにとっても、この環境に適応することが重要になっているだろう。この動きは、今後もさらに加速し、スポーツの楽しみ方やファンのエンゲージメントの形も変わっていくと予想される。

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