この数年間、ネットの世界でプライバシー保護のために、サードパーティクッキーを排除しようという流れができている。
クッキーは、インターネットのサイトのあるページを見る時に、ブラウザ側に情報を保存して、サイトのほうのサーバーがそれを認識して特定の情報を返したり、ログイン等を不要としてするような機能を言う。最初はこのようなログインの管理やページを見るときの情報の管理を行う機能だった。
サード・パーティークッキーが、プライバシーを侵害
この様なブラウザ側に保管された情報を、ファースト・パーティークッキーと言うが、これはそのドメインにしか対応せず他の機能は無い。これに対してサード・パーティークッキーは、複数のドメインをまたいで機能する。これにより、複数のドメイン間での個人の紐付けや、ウェブ上での行動履歴の把握、複数の情報を組み合わせた属性の把握のような目的に進化してきていた。このようなサード・パーティークッキーが、プライバシーの侵害に敏感になってきた現在においては問題になってきた。
このサード・パーティークッキーを利用したリターゲッティングと言われる広告の表示で、どのサイトに入っても同じ広告を表示することを可能にした。多くの人が広告に追いかけられて不安になると訴えることがあるが、これはサード・パーティークッキーの機能なのである。
そのために、AppleやGoogleはプライバシー保護の声に動かされ、サード・パーティークッキーを使わない方法を模索してきた。広告のテクノロジーは、サード・パーティークッキーを利用して機能しているので、サード・パーティークッキーを使わないと広告の効率が非常に落ちる。
Appleはサード・パーティークッキーをブロック
Appleは、広告に依存していない企業だ。だから、すでに、そのブラウザのSafariでは、サード・パーティークッキーを無効にする技術を導入済みだ。ITPを採用してすでに実用化されている。このITPは、Intelligent Tracking Preventionの略でサード・パーティークッキーブロックする機能を持っている。この機能により、Safariを使えば個人のプライバシーが守られるとAppleは考えている。広告のビジネスは関係ないからできることで、単にユーザーの立場だけを考えるからできることだ。
Googleも2022年までにはGoogle Chromeでサードパーティー空気が使えなくすると発表していた。AppleとGoogleの違いは、広告収入に依存しているかどうかの違いだ。Googleの基本的な収入源は広告だから、サードパーティークッキーが使えないと、広告のターゲティングの精度は著しく落ちるかと言うことではなく、ターゲティングそのものが不可能になる。これは広告に依存するGoogleのビジネスにとって致命的な問題だ。
Googleは集団でターゲットを捕捉
サードパーティークッキーを使わずに、ターゲットの行動や属性を把握する方法について研究が進められてきていた。それが、FLoCだ。FLoCは、発音はフラックで、群と言う意味の英単語と同じ発音だ。FLoCは、Federated Learning of Cohortsの略で、集団群の統合学習とも訳すのだろうか。
Googleの発表によれば、FLoCよって、サードパー・ティークッキーの95%の機能を果たすとされている。これはサード・パーティークッキーが、個人のブラウザを把握して、その情報により、属性や行動履歴を把握するのに対して、ブラウザが同様の動きをするグループを見つけて、その動きによって行動を把握するということだ。これにより、個々のブラウザのプライバシーが守られる。
FLoCは、今後ブラウザの Google Chromeに組み込まれて、ユーザの行動をグループとして把握して、広告やコンテンツの提供先に利用されることになる。現時点ではこれが、サード・パーティークッキーを,どの時点でリプレイするかわからないが、Googleが発表している通り、2022年までにはそうなるのだろう。