International Data Corporation（IDC）が昨年末に発表したレポートによると、2024年以降のスマートフォン市場は低成長が続くという。急速に普及が進んだスマホも出荷が頭打ちになるようだ。
レポートによると、市場は成熟期に入り、出荷台数は低下傾向となるが、5Gの普及により市場は新たな成長も期待できるとのことだ。特に、5G対応端末の需要が増加しており、これが新たな需要を生むいう予測だ。
2016年から2023年までのスマホ市場の出荷台数の推移は、2016年に出荷台数がピークで、その後、市場の成熟に伴い出荷台数は徐々に減少してきた。2023年第4四半期には7.3%の成長が見込まれ、2024年には3.8%の成長が期待されているが、その先はさらに先細りと見込まれている。この減少は、消費者の買換サイクルの延長や市場の飽和によるものと見られる。
また、この期間にはスマホの平均販売価格が上昇している。IDCによると、スマートフォンの平均価格は2023年に5.5%上昇し、$438に達する。これは4年連続の成長であり、特にプレミアム市場の成長が全地域で続いていることが背景にある。しかし、成長は次第に緩やかになり、2027年までには$396まで下がると予想されている。
2023年までの平均価格の上昇は、高価格帯のプレミアムモデルの需要が増加していることや、技術的な進化が反映されていることが理由だという。特に、5G対応モデルは従来の4Gモデルに比べて高価格帯に位置づけられるからだ。これが平均価格の上昇に寄与している。
また、iPhoneの市場シェアの拡大も要因となっている。低成長期にもかかわらず、2023年にはiPhoneは0.6%成長し、史上最高の19.6%のシェアに達したとされている。これに対して、Androidの市場シェアは4.4%減少した。長期的には、AndroidはiOSよりも少しだけ速いペースで成長し、2027年には市場の81.3%を占めると予想されている。
iPhoneの市場シェアの増加は、プレミアム市場の成長、ブランドの強さ、そしてiOSエコシステムへの忠誠心が高いことが反映されていると考えられる。
スマホ市場の地域別動向については、特に中国市場は重要な役割を果たしている。中国は世界最大の市場であり、その動向はグローバルな市場に大きな影響を与える。IDCのデータによると、中国市場は新型コロナウイルスの影響から徐々に回復している。特に、Huaweiなどの中国メーカーの復活は、市場の成長に大きな寄与をした。
他の重要な市場では、北米やヨーロッパ市場は比較的安定しており、高価格帯のスマホへの需要が高いことが特徴。これらの地域では、5Gの普及が進んでおり、プレミアム端末への移行が進んでいる。
一方、新興市場では、中価格帯が主流で、手頃な価格が広く普及しており、今後もその需要が続くと予想されている。特に、インドやアフリカなどの地域では、スマホの普及が今後も見込まれ、地域の経済成長やデジタル化に大きな影響を与える。
スマホ市場は成熟に伴い、今後の成長は主に技術革新や新興市場の発展に依存する。5G技術の普及により、高速通信や新しいサービスの提供を可能になれば、市場が再び活性化する可能性はある。また、折りたたみ式スマートフォンや拡張現実（AR）/仮想現実（VR）機能を搭載したデバイスなど、新しい形態のスマホの登場も成長要因となる。これは、もうすぐだろう。
最近は発売されたApple Vision Proのようなヘッドデバイスの普及もスマホ市場に影響を与える可能性がある。AR/VRなどの新しい体験を提供することができると、スマホと連携して、スマホの使用方法を変える可能性がある。たとえば、ユーザーがウェアラブルデバイスを通じてより没入型の体験を求めるようになれば、スマホの役割は、それをサポートするデバイスとしての役割を果たす。それはウェアラブルデバイスが中心になればだの見込みだ。しかし、一般的には、スマホは中心的なデバイスであり、ウェアラブルデバイスは補完的な役割を果たすと考えられる。
スマホ市場はいくつかの課題がある。一つは、先に述べたように、買換サイクルの延長だ。多くの消費者がスマホを長く使用する傾向にあり、これが新しいホの販売を抑制している。また、高価格帯のスマホへの需要は増加しているが、これが新興市場を中心に一部の消費者層からの購入意欲を減退させる可能性もある。
さらに、世界を覆う地政学的な緊張や、これに伴う供給チェーンの問題も、市場に影響を及ぼしている。特に、半導体不足や原材料コストの上昇は、製造コストの増加につながり、最終的には製品価格に反映されるだろう。これも出荷減少につながる。これらの要因が、今後のスマホの出荷台数に大きな影響を与えると予想される。
