YouTubeは2024年4月10日に、クリエイターが商品をキュレーションし、販売を促進し、収益を増やすための新しいショッピング機能を発表した。これらのツールは、クリエイターに「ショッピングコレクション」を作成、古い動画を収益化、独占的なアフィリエイト契約にアクセスするなど、さまざまな収益化の方法を提供する。
ショッピングコレクション
「ショッピングコレクション」は、クリエイターが自身の好きな広告主やブランドの商品を選択し、それらをテーマ別にキュレーションできる。例えば、「毎日のメイクアップルック」や「ワードローブ」などのテーマに沿って商品を選び、視聴者に提案することができる。これらのコレクションは、クリエイターの製品リスト、ストアタブ、ビデオの説明欄に表示される。当初、この機能はスマートフォンのスタジオアプリで利用可能となり、間もなくデスクトップ版でも展開される予定だ。
アフィリエイトハブ
ショッピング動画を簡単に企画し、収益化できるようにする「アフィリエイトハブ」は、最新のショッピングパートナー広告主のリスト、コミッション率、プロモーションコードを簡単に確認できる。さらに、クリエイターはこのハブを利用して広告主からサンプルをリクエストすることも可能。YouTubeによると、このハブの目的は、クリエイターが次のショッピング動画をより容易に計画できるようにするためのものだそうだ。
古いコンテンツの活用
YouTubeは昨年、クリエイターが、ビデオライブラリ全体にわたって製品を一括でタグ付けできる機能を導入している。この機能は、すべてのショッピングクリエイターに拡張され、クリエイターは自分の製品やグッズをビデオライブラリ全体にわたってタグ付けできるようになる。YouTubeは、この機能が高いトラフィックを維持している古いコンテンツからの収益を増やすのに役立つと指摘している。
市場環境
ショッピング機能を持つソーシャルプラットフォームの競争が激化している。YouTubeとTikTokは、この競争において重要なプレイヤーだ。YouTubeは、2023年にユーザーが300億時間以上のショッピング関連動画を視聴し、この種の動画の視聴時間が25%増加したことを発表している。新しいショッピング機能は、YouTubeがショッピングを更に強化するためのものだ。
TikTokは、TikTok Shopを通じて、強力なショッピング機能を提供。この機能は特に小売業者や広告主に人気があり、ユーザーが直接アプリ内で商品を購入できるようにしている。TikTok Shopは、特に若い世代の間で人気で、エンゲージメントと収益の両方で高い成果を上げている。ショッピングにおいては、今まではトレンドに敏感なTikTokが一歩リードしてきた。
YouTubeは、新しいショッピング機能の導入を通じて、TikTokなどのプラットフォームと競争するために、クリエイターの収益化のツール提供から始めるようだ。クリエイターがより効果的に商品を宣伝し、収益を上げる手段を提供することで、TikTokとの競争を乗り切ろうということだろう。
YouTubeとTikTokのショッピング機能の比較
YouTubeは、長い形式のビデオコンテンツに焦点を当てており、詳細な商品レビューやチュートリアルを通じて製品を紹介するコンテンツが中心になるだろう。長いビデオ形式と詳細なコンテンツによって、製品やサービスの深い理解を促進することが、広告主への売りになる。また、YouTubeは、多様なジャンルと広範囲の視聴者層に訴求することが可能で、広告主やブランドにとって魅力的なプラットフォームだ。
一方、TikTokは、短い形式のビデオとインタラクティブなコンテンツで知られているので、短い商品紹介やトレンドを生かしたプロモーションを可能にする。そして、アプリ内のTikTok Shopで直接商品を購入することができるシームレスな体験も強みだ。
まとめると、今回導入される新しいYouTubeのショッピング機能は、特にクリエイターの収益化に重点を置いているように見える。長いフォーマットのビデオコンテンツと詳細な製品情報により、クリエイターが自分のチャンネルを通じて収益を上げることを支援することに目的があるようだこれは、既存のクリエイターの収益化を助けることで、YouTubeのショッピングの人気を高める狙いがあるようだ。
TikTokは、どちらかと言えば、よりユーザーの利便性とエンゲージメントに重きを置いている。短いビデオフォーマットとインタラクティブな体験は、トレンドに乗った情報提供と楽しいショッピング体験を意図している。
広告主にとって、どちらのプラットフォームも重要なマーケティングツールとなる。YouTubeの場合はクリエイターの収益化、TikTokはユーザー体験にあり、これを、どのように組み合わせて使いこなすかが、広告主に委ねられている。