Googleは、Chromeブラウザでのサードパーティクッキーの廃止計画を変更し、これらのウエブ上での履歴追跡のサポートを無期限に維持することを発表した。これは、2024年末までにこれらを廃止するという以前の決定を覆すものだ。この決定は、AppleやMicrosoftなどの主要なテック企業が推進してきたクッキーレスの未来への業界全体の動きからの大きな逸脱を示している。
Googleは、プライバシーサンドボックスという新しいプラットフォームを通じて、サードパーティクッキーを廃止しないことを発表した。このプラットフォームは、ユーザーのプライバシーと広告主のニーズをバランスさせることを主張しているが、Googleが広告収入に大きく依存していることが、この政策変更の主要な理由だ。
プライバシーサンドボックスは、ユーザーがChromeでプライバシーのレベルを選択できるようにし、データに対するコントロールを強化することを目指している。しかし、このアプローチには多くの課題が伴う。サードパーティクッキーを廃止する代わりに、Chromeでユーザーが情報に基づいた選択を行い、その選択をいつでも調整できるということになっているが、ユーザーがどこまで設定を行うかにかかっている。この設定方法に疎い人だけが、結果的にサードパーティクッキーを使い続けることを目指しているようにも見える。
サードパーティクッキーの継続は、ユーザーデータが引き続き収集され、ターゲット広告に利用されることを意味する。多くの企業が、ユーザーデータの活用によるおいてパーソナライゼーションを目指している現状において、透明性を確保し、ユーザーにデータの使用方法を明確に伝えることが重要だ。そうでなければ、プライバシー保護を求めるユーザーの声を無視することになる。
Googleの広告収入は、企業全体の収益の75%を占めている。その広告の効果は、クッキーによるデータ収集とユーザー追跡に大きく依存している。クッキーを削除したテストでは、ターゲット広告に依存するウェブサイトの収益が約30%減少した。これは、クッキーの廃止がGoogleのビジネスモデルにとって大きな問題であることをを示している。
多くのユーザーは、プライバシーを重視するようになり、サードパークッキーをサポートしないブラウザであるBrave,SafariやFirefoxが人気を集めており、ユーザーはデータ保護を求めている。これに対し、Googleはユーザーの信頼を維持しつつ、広告収入をバランスさせるという課題に直面している。
Googleのサードパーティクッキーの維持決定は、プライバシー擁護にとっては大きな後退であり、広告業界にとっては恩恵となる。プライバシーには問題だが、広告の効果効率は維持される。今後の課題として、Googleは、オンライン広告の効率を維持しつつ、ユーザープライバシーの保護ができる、クッキーに代わる効果的なプライバシー保護の代替手段の開発に取り組まなければならない。そうでなければ、プライバシー保護を求めるユーザーからの批判の声はより一層高くなるだろう。