20年以上にわたって,、インターネットとビジネスのすべての領域に君臨してきたGoogleが揺らぎ始めた。Googleは、インターネットが存在する限り、つまり未来永劫に渡って変わることがないと思っていた。しかしながら、まず司法省がGoogleが検索を独占しているとして提訴を行ったことが1つの兆候だ。そしてもう一つの兆候は、AI技術の進歩により検索やそれに伴うインターネットの使い方が変わることが明らかになってきたことだ。
Googleの創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、スタンフォード大学の博士課程在学中に検索エンジンの開発を始めた。1998年9月、彼らはGoogleを正式に設立し、検索エンジンを公開した。このロボット検索エンジンは人気をすぐに集めた。しかし、当時は収益化の方法がなかったので、未来は暗かった。それが、2002年2月に、「検索連動型広告」を導入すると、瞬く間にGoogleは巨大広告メディア会社に成長した。
その地位が揺らぎ始めたのは、OpenAIなどのAI企業の台頭が、Googleの検索ビジネスに大きな影響を与え始めたからだ。そして、AppleとOpenAIの提携がやってきた。Appleは現在、iOSデバイスのデフォルト検索エンジンとしてGoogleと契約を結んでおり、これによりGoogleはAppleに多額の支払いを行っている。これにより、数十億台のiOSデバイスが Googleを検索エンジンとして使い、独占状態を生み出す一つの要因になっている。
そのAppleがOpenAIと提携して、Apple IntelligenceのエンジンとしてChatGPTを採用することで、AppleとGoogleの契約が影響を受けるかもしれない。少なくとも、iOSデバイスからのGoogle検索は減少することが予測される。さらに、Apple はOpenAIに投資もすると噂されている。そうなれば、Appleは、Googleとの検索エンジン契約を終了するかもしれない。
そして、そのOpenAIは、検索機能の開発を行い、ChatGPTに統合される新しいAI検索機能のプロトタイプ「SearchGPT」をテストしている。これは、Google検索の代替となるだろう。
SearchGPTは、AIモデルの強みとウェブ上の情報を組み合わせ、迅速かつ適切な回答を提供することを目的としている。最新のウェブ情報を提供し、関連するソースへのリンクを提供し、フォローアップの質問にも対応し、ユーザーとのやりとりの経緯と文脈を維持する。
Googleは2001年からAIを使用して検索を改善しており、2017年にはGoogle AIを立ち上げ、大規模な言語モデルやGoogle検索の膨大なデータセットの活用を開始した。
しかし、OpenAIなどのAI企業の台頭により、Googleの検索ビジネスが脅かされることは確実だ。質問内容を記憶して、さらに質問することで文脈に沿った回答をするAIエージェントが機能するなら、単純な検索エンジンは不要になる。
AIの進歩により、AppleとOpenAIの提携や、OpenAIの検索機能の開発は、Googleの検索ビジネスに大きな影響を与える可能性がある。今や検索エンジンは大きな変革期を迎えている。
Googleは、AIを活用した検索機能の強化に取り組むことで、変化する市場に適応していくのだろう。だが、検索と生成AIの融合はさらに進み、そこではGoogleは絶対王者ではないかもしれない。
