Facebookは、近年ユーザー層が高齢化していることは、様々な調査からも顕著だ。特に1997年から2012年生まれのZ世代のユーザーが減少している。学生に話を聞いても、Facebookの名前が出ることは、100%無い。X、TikTokやInstagramなどの競合プラットフォームはZ世代を惹きつけ、彼らの時間を奪い去っているようだ。最近は、Berealの使用者も増えてきた。
このような状況を打破するため、Metaは、社名を変更した際の大きな方向転換とともに、特に若いユーザーを対象にした一連の施策を打ち出した。2023年に行われたFacebook IRLイベントでは、その中核となるアップデートが発表されている。これらのアップデートには、エンターテインメントと地元コミュニティに重点を置いた新機能が盛り込まれた。Facebookはもはや、友達同士のつながりを提供するSNSではなく、地域密着型のプラットフォームへと進化を果たすための努力をしているようだ。
また、もう一つの注目点は、Facebookが動画やFacebookグループに注力し始めたことだ。TikTokのようなエンターテインメント志向のアプリと競争するため、Facebookはエンタメ機能を拡充し、若者が楽しめるコンテンツを提供する方針にシフトしている。
アップデートの中でも目玉となるのが、”Local”という新しいタブの導入だ。このタブは、ローカルなコンテンツを一元的に表示するもので、Marketplace、グループ、イベントなどから地元の情報が集約される。例えば、近くで開催されているイベント、販売や無料で提供されている商品、地域のおすすめスポットなどを簡単に見つけることができるようになった。
この機能は現在、アメリカの一部の都市でテスト運用中であり、オースティン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、シカゴ、ダラス、サンフランシスコ、フェニックスなどの大都市が対象だという。だが、これが成功すれば日本でも導入されるのだろう。
この「Local」タブの導入は、Z世代が求める地域密着型のサービスを強化する一環だという。特に、FacebookマーケットプレイスやFacebookグループの利用が増加している若年層に対して、さらに地元に根ざした情報を提供し、他のSNSとは異なるユニークな価値を提供しようとしているのだという。これは、日本では都会より地方で受ける機能かもしれない。
エンターテインメント機能、特に動画コンテンツの強化は、TikTokやYouTubeに対抗するための重要な戦略となっている。Z世代は動画を好む傾向が強く、短い動画やライブストリーミングは彼らにとって欠かせないコンテンツだ。Facebookもこれを意識し、より多くの動画コンテンツを提供することで、ユーザーのエンゲージメントを高めようとしている。だが、これは、TikTok、Instagramなどの強力なライバルの中で、どこまでユーザーを惹きつけられるのか疑問もある。
Metaが発表したこれらの新機能とアップデートは、Facebookが単なるSNSとしての役割から脱却し、より地域密着型の情報プラットフォームおよびエンターテインメントハブを目指す意思の表れだ。
これらの変革が、競合アプリとどれほど競争力を発揮できるかはまだ未知数だ。地域密着型のサービスや動画コンテンツ強化というアプローチは、Z世代を再びプラットフォームに引き込むために有効かはどうかは現時点ではよく分からない。Metaがどのようにして、Facebookに若者を取り込み、さらに成長を遂げるのかが注目されるところだ。
それに、心配なのは、現状のユーザーである中高年層のFacebook離れが起こらないということだ。これについては、リアルな関係でのコミュニティがあるから大丈夫と考えているのだろうか。ジェフ・ベゾスを抜いて世界で2番目の金持ちになったと今日の記事になっていたマーク・ザッカーバーグのことだから、中高年対策も今後行うのかもしれない。
個人的には、SNS離れが進んでいて(進めていて)時々写真を投稿するだけになっている。同じような中高年は、これからも増えるし、その世代の人口そのものも減るのは中期的には確実だから、可能ならZ世代のSNSになる方が事業戦略としては正しい。