「LINE」内課金機能の外部企業開放

by Shogo

LINEヤフーが、日本国内で多くのユーザーを抱える対話アプリ「LINE」内の課金機能を外部企業に開放する方針だと日経が報じた。これは、日経のスクープのようで他紙には情報はない。

課金機能開放により、企業はLINEアプリ内で自社のコンテンツやサービスを提供でき、ユーザーもアプリ内でそのまま購入や決済を行うことが可能になる。

LINEヤフーが新たに導入する「課金機能の外部開放」とは、企業が「LINE公式アカウント」を通じて課金機能を活用し、ユーザーにさまざまなデジタルコンテンツを提供できる仕組みだ。具体的には、2025年3月までに導入される予定で、企業はLINE上で動作するミニアプリを通じてゲーム、漫画、電子商取引(EC)などを展開することが可能となる。ミニアプリの運用支援も併せて提供されることで、企業にとって開発が容易で、利用しやすくなるようだ。

LINEが課金機能を開放する背景

この課金機能開放の背景には、SNS市場での競争が一段と激化していることが挙げられるだろう。現在、TikTokやInstagramなどがメッセージや課金機能を強化しており、SNSが単なるコミュニケーションの枠を超えて、多機能プラットフォームへと進化を遂げている。これに対抗するため、LINEも多様な機能を提供することで、ユーザーの利便性を高め、アプリ内での購買まで完結させるようとしているようだ。また、LINEアプリからのユーザーの流出を防ぐ目的もあり、課金機能の外部企業への開放は、ユーザーをLINEアプリに留めるためのサービスの拡充とも言える。

さらに、LINEは日本国内で1億人を超えるユーザーを抱え、企業向け公式アカウントは約46万社が利用している。この巨大なユーザー基盤を活用し、LINE上での課金機能を活用した収益化が、今後の成長戦略において重要なテーマとなっているのだろう。

収益モデルと広がるサービス提供の可能性

LINEヤフーは、外部企業に課金機能を提供することにより、企業の売上の一部を手数料として収益化するモデルを展開する。さらに、グループ企業であるYahoo!JAPANからの流入を誘導し、将来的にはPayPayなどの決済アプリとの連携も視野に入れているのは確実だ。このような複合的な収益モデルにより、外部企業との連携がますます強化され、幅広いサービスが提供されるだろう。つまり、スーパーアプリを目指しているのだ。

Appleのガイドライン改定とLINEの新しい可能性

LINEヤフーが課金機能開放を進める背景には、Appleのアプリ内課金に関するルール変更も関係している。2024年1月、Appleがミニアプリ内の課金機能を許可する方向にガイドラインを改定したことで、LINE内でも同様の課金機能が可能となった。中国の「微信(WeChat)」はミニアプリ内課金が成長の原動力となった実績があり、LINEもこのAppleのルール変更を活用して同様のエコシステムの構築を目指しているのだろう。

情報セキュリティと信頼回復の取り組み

LINEヤフーは2023年に情報漏洩が発覚し、現在再発防止策を進めている。外部企業に課金機能を提供するにあたり、個人情報保護やセキュリティ対策がより一層重要となる。企業やユーザーの信頼を確保して、利便性と安全性を両立させたサービス提供ができるかどうかが鍵となる。具体的な安全対策を外部に示せるかどうかを注視すべきであろう。

企業とユーザー双方にとっての利点

この施策には、企業とユーザーに多くの利点が期待される。

企業は、LINE内で課金を完結させることで、アプリストアの手数料を回避し、決済手段の選択肢を広げることができる。また、LINEの国内ユーザー基盤を活用することで、マーケティング効果も期待される。

  • 手数料削減:AppleやGoogleのアプリストア手数料30%を回避
  • 開発コストの削減:ネイティブアプリ開発の半額程度で実現
  • 高いマーケティング効果:LINEのメッセージ機能で効率的なプロモーション

ユーザーにとっては、アプリのダウンロードが不要で、LINE内でスムーズにサービスが完結することで利便性が向上する。

  • 利便性の向上:アプリのダウンロード不要、LINE内で完結する体験
  • ストレージの節約:スマートフォンの容量を節約

LINEヤフーが進める課金機能の外部企業開放は、SNS業界の激しい競争に対応するための大きな戦略の一つと言える。日本国内の圧倒的なユーザー基盤を活かし、LINE内で多様なサービス利用を可能にすることで、ユーザーと企業の利便性を高め、新たな収益機会を創出することを目指すものだ。Appleのルール改定も追い風となり、日本のSNS市場においてLINEがどのようにシェアを維持し、成長していくか注目される。だが、先にも書いたように情報の安全性などについて強化・対策を行い、その内容を開示する事が求められる。

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