ディズニーの広告配信サービスが1億5700万人

by Shogo

ディズニーが、Disney+、Hulu、ESPN+の3つのストリーミングサービスが、広告付きコンテンツを視聴する月間アクティブユーザー(MAU)を世界全体で約1億5700万人に達したと発表した。米国内だけでも1億1200万人を数え、過去6か月間の平均値がこの規模にのぼるというのは、ストリーミング業界でも注目に値する数字となったと思う。ストリーミングサービスが広告メディアとしても、重要なメディアとなったことを意味する。

ディズニーは元々、有料会員からのサブスクリプション収益が中心だった。しかし近年の映像配信市場では、広告付きプランを投入することで新たな収益源を求める動きが広がっている。Netflixをはじめ、ほとんどの大手プラットフォームが広告付き・広告なしのプランを採用し始めており、ディズニーもその動きに本格参入している。ただし、日本ではDisney+については、広告付プランはない。

こうした広告付きプランの導入は、以下のような利点がある。

  • 利用料金を抑えられる   広告収益が入ることで、消費者にとっては安価なサブスクリプション料金を利用できるメリットがある。これは、メディアビジネスの歴史においても新聞や雑誌の広告ビジネスの時代からの基本的なパターンだ。
  • 加入者の裾野拡大  価格に敏感な層まで含め、多種多様なユーザーを取り込むことが可能となるため、会員数の拡大が見込める。
  • 広告主の関心  ストリーミング経由の動画広告は視聴態度の測定やターゲット配信が比較的容易で、広告主にとっても魅力がある。ストリーミング事業者の持つファーストパーティデータは、広告配信において重要なデータとなる。

ディズニーも例外ではなく、広告付きプランに積極的にシフトすることで、利用者の拡大と新たな収益源の確保を両立させている。

月間アクティブユーザー数の算出方法と“透明性”の意義

今回、ディズニーが公開した広告付きコンテンツの視聴者推定値は、業界としては珍しく詳細な算出方法が示された点が大きな特徴だ。それは、以下のような点だ。

  • 広告付きコンテンツを10秒以上連続再生したアカウント数を「アクティブアカウント」とみなす
  • 1アカウントあたりの利用者人数(平均2.6人)を掛け合わせることで、実際のユーザー数を推定する
  • この「1アカウントあたり2.6人」という数値は、13,000人超を対象にした調査によって得たもの

これまで放送テレビなどでは視聴率や到達人数の推定モデルが確立されていた一方で、グローバル配信プラットフォームの視聴規模には明確な業界基準が存在しない。ディズニーは「透明性の高い測定方法をアピールすることで、広告主からの信頼を得たい」という姿勢を明確にしており、今後は他社プラットフォームとの比較材料としても注目される。

日本国内では広告付ストリーミングサービスは以下のとおりだ。

ABEMA(アベマ)

インターネットリニア放送(テレビ番組のようなリアルタイム配信)と見逃し配信が基本無料で視聴可能。広告収入を主な収益源としており、一部番組は有料プラン「ABEMAプレミアム」で広告なし視聴が可能。

TVer(ティーバー)

民放キー局などが連携して提供している見逃し配信サービス。完全無料・広告付きで地上波番組を見逃し視聴できる。テレビ感覚でサクサク視聴できる反面、途中で広告が挿入される。

Lemino(レミノ)

NTTドコモが運営する動画配信サービス。一部作品を広告付きで無料視聴できる「Leminoフリー」と、有料の「Leminoプレミアム」(月額990円)を用意しており、無料でもドラマやアニメを楽しめる。

Netflix(ネットフリックス)広告付きプラン

2022年11月に導入された「広告付きベーシック」から進化し、現在は広告付きスタンダードが月額790円で提供されている。

Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)

日本では2025年から広告入りプランを導入予定。現状のプライム会員料金(年5,900円、または月600円)に広告が挿入され、広告を非表示にするオプションが追加される形になる見込み。

広告付きストリーミングは、消費者にとって安価な利用料とコンテンツ視聴体験を両立できるオプションであり、事業者にとっても広告収入による売上拡大の手段となる。ディズニーの場合、三大プラットフォーム(Disney+、Hulu、ESPN+)を束ねることで、世界的なブランド力と多彩なコンテンツを武器に、広告ビジネスのさらなる成長を目指しているようだ。その点からも、Disney+が日本で広告付プランが近い将来に導入することが考えられる。

一方で、視聴者の選択肢が増え続ける中、「ストリーミング疲れ」やコンテンツ満足度の変動は避けられない。各サービスが競争力を維持するには、魅力的で継続的なコンテンツ投資や広告回数の最適化といった工夫が求められる。ディズニーのように測定手法を開示し、広告主や投資家に対して成果をしっかり説明する姿勢は、将来的に業界全体の標準を形作ることになるだろう。それが確立すると、テレビに変わる重要な広告メディアになる。

今回発表されたディズニーの広告付きの視聴者数が1億5700万人という数字は、単なる「大台突破」を示すだけでなく、ストリーミング業界が新しい収益モデルへと本格的にシフトしている現状を鮮明にするものと言える。

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