Instagramが、また新たな機能を導入した。今回は、リール(Reels)の「友達がいいねした動画を表示する機能」だ。これも、プラットフォーム上のコンテンツ消費の拡大の狙いがあるのだろう。ユーザー間のつながりを深めることを目的としていると発表しているが、目的は広告チャンスの拡大だ。だが、この機能は、一方でプライバシーや利用者の行動に与える影響についてネット上で批判がある。
この新機能は、友達がどのリールに「いいね」したかや短いコメントを残したかを確認できる専用タブとして提供される。Instagramは、この新機能について「Instagramを単なるエンターテイメントコンテンツの消費場所ではなく、友達とそのコンテンツを通じてつながる場にしたい」と述べている。この機能は、2019年に廃止された「アクティビティフィード」に似たもで、短尺動画時代に合わせた再設計版と言える。
この変更は、TikTokとの競争が激化する中で、Instagramがユーザーのエンゲージメントを高めるための戦略の一環とも考えられる。TikTokが米国で禁止される可能性が確実になりつつ今、Instagramはその隙間を埋める形でリールの利用促進を図ろうとしているようだ。(今日のニュースでは、連邦最高裁はTikTok禁止法を合憲とする見込みと報じられている。1月19日に禁止される可能性が高くなった。唯一の不確定要素は、翌日に就任するトランプ次期大統領が介入するかどうかだけのようだ。)
Instagramが言うように、この機能は友人と共通の趣味を見つけたり、新たなコンテンツに出会えたりする機能かもしれない。しかし、過去の「アクティビティ」フィードに対する批判を考えると、多くのユーザーは自身の「いいね」履歴を友人に公開することに抵抗がある人が多いようで、Redditにも批判の書き込みが多い。
例えば、あなたが、大谷翔平の投稿に毎回「いいね」していたとする。その情報が友人に共有されたとして、一体どんなメリットがあるのだろうか。むしろ、自分の興味や関心がすべて筒抜けになることに、不快感を覚える人もいるかもしれない。
過去の「アクティビティ」フィードでは、ユーザーが恥ずかしい投稿に「いいね」していることがバレてしまうという問題が発生して批判があった。X(旧Twitter)のように、「いいね」履歴を非公開にするプラットフォームが増えている中、Instagramはなぜこのようなリスクを冒すのだろうか。
Metaは、ユーザーがこの新機能をオプトアウトできるかどうかについて、まだ明らかにしていない。もしオプトアウトできない場合、ユーザーのプライバシーやコンテンツへのエンゲージメントに悪影響を及ぼす可能性がある。
現時点で、この機能が導入されるのは、TikTokの禁止の可能性を見据えて、リールの強化に力を入れているからだろう。しかし、TikTokのような活気のあるコミュニティを築くには、ユーザーのプライバシーとコンテンツ体験のバランスを考えるべきで、ユーザーのプラットフォーム上でのプライバシーへの配慮が必要だろう。