AI Overviewsがページの最上部に表示されるようになって、予想したとおりのことが起こっている。
ピュー・リサーチセンターの調査によると、AIの要約が表示された場合、ユーザーは要約の下に表示される従来のリンクをクリックする傾向が大幅に低下しているという。AIの要約が表示されなかった場合と比べると、リンクをクリックする確率は半分以下になるというデータが報告されていた。このユーザー行動の変化は、AIの要約に対する信頼感が高まっていることを意味しているが、この要約にはエラーが含まれていたり、信頼性の低い情報源から引用されていたりするケースも少なくないと警告する人もいる。
AI Overviewsの台頭は、ウェブサイトの運営者がこれまで依存してきたビジネスモデルに大きな影響を与える。特に、広告収入やアフィリエイト収益に依存するメディアサイトや情報サイトは大きな打撃を受けている。
AI Overviewsがウェブトラフィックを減少させている原因は複数ある。
1. クリックの減少
ユーザーはAI Overviewsで求めている情報の要約を得られるため、わざわざリンクをクリックして元のサイトを訪問する必要性を感じにくくなっている。特に情報収集型のクエリでは、この傾向が顕著だ。
2. 情報源の不明瞭化
AI Overviewsは複数のサイトから情報を統合して要約を生成するため、元の情報源がどこなのかが分かりにくい場合が多い。たとえリンクが表示されていても、ユーザーはそれをクリックする動機を持たないことがほとんどだ。
3. 検索の性質の変化
Googleは「検索エンジン」から「回答エンジン」へと変化しつつある。ユーザーは情報を見つけるのではなく、答えそのものを求めて検索するようになり、Googleはそのニーズに応える形でAI Overviewsを提供している。
この状況は、従来のマーケティング戦略を根本から見直す必要があることを意味する。
多くのサイトが広告収益に依存しているが、AI Overviewsの普及により、このモデルは破綻しつつある。今後は、広告以外の収益源を模索する必要があるだろう。会員制サービス、有料コンテンツ、ECサイトとの連携、コンサルティングやセミナーといった付加価値サービスの提供などが考えられる。だが、これは簡単な話ではない。広告モデルになっているのは意味がある。それは、最も手っ取り早く簡単に稼ぐ方法だったからだ。
GoogleのAI Overviewsは、ウェブの使用方法、ビジネスモデルに大きな変化をもたらしている。これは一時的なトレンドではなく、検索のあり方そのものを変える構造的な変化だ。
ウェブサイト運営者は、単に上位表示を狙うだけでなく、ユーザーと直接つながる手段を構築し、付加価値の高い独自コンテンツでファンを増やしていく必要があるだろう。