今年4月のiPhoneのiOS 14.5の導入以降は、インターネット広告業界は混乱している。今週、Facebookは広告主にメールを送って、今年の2月以降、システムにバグがあり広告のレポートシステムが、不完全なデータを送っていたと謝罪した。
今回のケースでは、広告によるコンバージョンを低く報告していたと言うことだ。例えば、広告の目的がアプリのダウンロードだったとして、特定の広告により何件ダウンロードが実際にされたかどうかを報告するシステムが、バグにより正常な機能していなかったという。このために、コンバージョンが一部把握されず、報告は少ない数になっていたということだ。
理由はiPhone 12のシステムとFacebookのシステムが適正に連携しなかったようだ。Facebookは、iOSの利用者の10%においてこの連携が機能していなかったと発表している。
広告の効果としてのコンバージョンが低く出てしまうと、広告主はマーケティング目標を達成するために、さらに広告費を投入することになる。コンバージョンが正しく報告されていれば、広告主は、この追加の部分の広告費を他の目的に使うことができたので、マーケティング計画全体に大きな影響が出ている。
Facebookは、2016年にも広告効果のレポートで問題を起こしている。この時には、広告効果の指標のコンバージョンに、通常の投稿のビデオのコンバージョンも含めてしまった。つまり広告効果を過大に算出してしまったわけだ。今回のコンバージョンを把握できずに、少なく報告してしまったことの逆である。
どちらも、広告主がマーケティング計画で獲得目標と支出を計算している中では大きな問題だ。この効果を過大に報告していた問題については、広告主が訴訟を起こしたこともあり、Facebookは4,000万ドルの賠償金を支払っている。
インターネット広告においては、インターネットのユーザの行動履歴やコンバージョンが正確に把握できることが特徴だ。このためにインターネットの広告は急成長遂げてきた。しかしiOS 14.5のプライバシーポリシーの変更のように、インターネットユーザの属性や行動履歴の把握が難しくなってくる。今回のFacebookで起こっている問題のように、今までと同じように広告効果が正確に測定できるかどうかは不透明だ。
正確な広告結果が把握できるということがインターネット広告の利点の一つである。プライバシーポリシーの変更によりこれができないと、おおざっぱなターゲティングと広告効果が測れないことが特徴のマスマーケティングのマスメディアの広告の時代に戻っていくのだろうか。